「風呂敷を広げる」新規、「文脈を紡ぐ」既存 必要なスキルの違い
新規獲得と既存顧客拡大。それぞれに求められるスキルセットの違いについて、両名の見解は興味深い一致を見せた。
川嶋氏は、どちらにも共通して「信頼関係構築力」と「ヒアリング力」が必要だと前置きしたうえで、その質の違いを指摘する。
「新規営業は、ある種『風呂敷を広げる力』や、決裁者にたどり着く突破力が求められます。一方、既存のお客様と対峙する際は、過去の会話や蓄積されたデータを紐ときながら文脈を紡ぐ力が必要です。さらに言えば、自分の後任にスムーズに引き継ぐために、日々の活動ログを真面目にコツコツ入力するといった、地道な遂行能力も重要になります」(川嶋氏)

児玉氏もこれに同意し、既存顧客対応の「複雑性」について言及した。
「新規営業はシンプルです。『受注』という明確なゴールに向かって、行動量を積み重ねるパワフルさが大切。しかし、既存営業やカスタマーサクセスは、お客様と長期的なパートナーになることが前提。そこには複雑な判断が求められます」(児玉氏)
競合の動きを察知して活用支援を厚くするのか、トップリレーション強化のために経営層をアサインするのか。無数にある選択肢の中から、リソースを考慮しつつ「今、このお客様に何をすべきか」を瞬時に判断しなければならない。
そのためには、社内外のあらゆるデータを読み解き、社内の開発部門やマーケティング部門を巻き込む「ハブ」としての能力も不可欠となる。
「契約していただいている限り、ゴールはありません。その難しさとやりがいは、新規営業とはまた違った次元にありますね」(和久井氏)
