海外と日本で「パートナーマーケティング」の予算増額意向には大きな差
こうした課題を踏まえたうえで、パートナーマーケティングの認知度を調査した。

今回の調査では、70%の回答者がパートナーマーケティングには一定以上の価値があると回答した。前述の背景や、この結果からも日本においてパートナービジネスやパートナーマーケティングへの注目度が高まっていることがうかがえる。

一方で、パートナーマーケティングの予算を増加させるという回答は24%にとどまった。
海外調査(※)と比較したところ、「パートナーマーケティングに価値がある」との回答は68%と日本とほぼ同水準ながら、「予算増額意向」は62%に達しており、日本との差が顕著に見られた。
この差は、パートナーマーケティングの重要性を認知しているものの、実際の投資や施策実行まで踏み切れていない日本の現状を示している。日本においてはパートナーマーケティングの具体的な施策・手法や、成功事例などが汎用的なノウハウとして存在していない。当然ノウハウを持った人材も少なく、必要性を感じているものの具体的にどう進めるべきかわからない、といった企業も少なくないのだろう。
※FOUNDRY「State of Partner Marketing Study」
成果の高いプログラム構築に未着手が多く、コストの小さい施策に終始
次にパートナーマーケティングの施策別取り組み状況について調査を行った。

パートナーとの共同マーケティングや、パートナーの育成コンテンツの整備は64%程度の企業が一度は実施したことがあると回答。パートナーマーケティングを実施するうえで、コストをかけずに取り組める活動であるため、前述の予算拡大意向が小さい点とも合致する。
育成コンテンツは直販の営業組織におけるセールスイネーブルメントに近いノウハウで実施が可能だ。また共同マーケティングも直販側のマーケティングノウハウを活かすことができる。
一方で、パートナープログラムやMDF(マーケティングデベロップメントファンド)は一度も実施したことのない企業が多かった。いずれもコストのかかる施策であるため、日本におけるパートナーマーケティングは、まだ少ない予算で小さく試している段階にあると言える。

しかし、各施策の実施者に対して施策の効果を調査したところ、パートナープログラムの効果実感が81%とすべての施策の中でもっとも高かった。つまり、体系的なプログラム設計こそが成果創出につながるコア施策なのだ。
マイクロソフトやDELLなどのビック外資ITだけではなく、AsanaやAtlassianなどの巨大SaaSなど、海外ではこうしたパートナープログラムを整備し、パートナマーケティングを使って事業成長を目指すことが一般的になりつつある。こうした先進的な海外事例にキャッチアップしている企業が、コア施策に取り組めているのではないかと推測できる。
