1日に1回が「1時間に1回」へ 営業現場へデータ活用が浸透
──実際にRaySheetを導入されて、主にどのようなシーンで活用されていますか。また、それによって営業現場にどのような変化がありましたか?
金井 活用場面は大きくふたつ、「計数管理」と「案件管理」です。計数管理とは、各営業担当者の目標に対する実績や進捗を管理する業務のことです。これまでは、これらの情報をExcelや独自の案件管理ツールで管理していました。そのため情報がツールの中で閉じており、顧客情報と分断された「サイロ化」の状態だったのです。
今回、RaySheetをSalesforceに組み込み、計数管理や案件管理を従来のExcelのような操作性で行えるようにしたことで、計数や案件の情報がお客様の情報としっかりと紐づきました。「このお客様の案件状況はどうなっているか」という情報がCRMを見ればひと目でわかるようになり、現場の業務効率は格段に上がったと感じています。
──情報のサイロ化が解消されたことで、具体的な業務プロセスにも変化はありましたか?
金井 もっとも大きな変化は、BIツールであるTableauへのデータ連携のスピードです。以前のツールでは、1日に1回しかTableauへデータが反映されませんでした。それが、SalesforceとRaySheetを導入したことで1時間に1回に短縮されたのです。
武井 この変化は非常に大きいですね。以前は、商談から帰ってきて情報を更新しても、それが反映されるのは翌日。そのため、夕方に行われる営業会議では最新の状況が共有できませんでした。
しかし今では、帰店後に更新した情報がすぐに反映され、そのデータを見ながら会議ができます。結果として、Tableauをそのまま使う文化が根づき、会議のために別途資料を作成する必要がなくなりました。

──リアルタイム性が向上したことで、現場のデータ入力に対する意識も変わったのではないでしょうか。
武井 まさしくそのとおりです。入力した情報がすぐに使える、役に立つという実感があるからこそ、皆がきちんと更新するようになります。現場がデータをリアルタイムで活用できないことで、入力・更新されなくなるケースは非常に多いと思いますが、我々はこのクリティカルな課題をRaySheetでクリアできたと考えています。
──一方で、導入後に見えてきた課題もあったかと思います。
金井 そうですね、たとえばExcelとはフィルターの表示形式が違うなど、細かい部分で「Excelと同じ挙動ではない」という声はありました。
また、従来のツールの項目をそのまま移行したことも、反省点のひとつです。Excel形式でA3サイズの紙に出力すれば問題なかったデータも、ウェブ画面では項目数が多すぎて横スクロールが増えてしまいました。
武井 ただ、そうした現場からの声に対して、メシウスさんと連携して迅速に対応できたことが、我々にとって良い成功体験になりました。4月にリリースしたのち、現場のフィードバックを受けて6月、7月と立て続けにアップデートを実施できたのです。
拠点としても、最初は戸惑いがあったものの、「言えば改善してくれる」という信頼感が醸成され、むしろ「一緒にこのCRMを育てていこう」という前向きな雰囲気をつくれたことが大きな収穫でした。