「富士通デジタルセールス」の立ち上げ背景
高橋(SalesZine) 本セッションは「収益最大化を叶える部門間連携」をテーマに、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスのプロセスやツールをどのようにつなぎ、変革していくべきかを探ります。部門連携により、新規開拓の新たな形を模索されているおふたりに、話をうかがいましょう。
重松(富士通) 富士通の重松です。私は現在、富士通のデジタルセールス部門にて、新規ビジネスの創出と営業改革に取り組んでいます。
富士通株式会社 カスタマーグロース戦略室 Digital Sales Manager 重松 大介氏
2015年にインサイドセールスに特化したアウトソーシング会社に入社。 その後、事業会社にてインサイドセールスの立ち上げやプレイヤーとしての業務に従事。2021年9月より富士通株式会社でDigital Salesとして営業改革と新規ビジネス創出に邁進中。
この取り組みの背景にあるのは、2019年に富士通が掲げた「IT企業からDX企業への変革」です。従来のプロダクトアウト型から、お客様に価値を提案するオファリング型へと、営業スタイルを抜本的に変える必要がありました。
売り物が変われば、売り先も変わります。IT部門の既存のお客様に加えて、LoB(Lines of Business)部門へのアプローチが不可欠となったのです。
この新たな挑戦を成功させるため、先発完投型から分業型の営業スタイルを目指し、インサイドセールスの機能を組み込んだデジタルセールス組織が立ち上がりました。
高橋 当初は少人数でのスタートだったとうかがっています。
重松 はい。最初はマーケティング部門の中の準備室からスタートし、小さな成功体験を積み重ねてきました。現在では130名規模の組織にまで拡大し、国内だけではなくグローバルへの展開も実現しています。
営業のバディとしてアカウントに向き合う
高橋 今まさにデジタルセールスが取り組んでいる「FAB(Fujitsu Account Buddy、富士通アカウントバディ)」というモデルについて教えてください。
重松 はい。これまでのデジタルセールスと営業の連携は、プロジェクト型の運用が主でした。営業からアカウントリストと提案内容が共有され、デジタルセールスが架電するスタイルです。
しかし、興味があるかないか“白黒をつける”だけでは、アカウントとの接点は1回きりで終わってしまいます。そこで新たに取り組んだのがFABモデルです。営業と年間の売上目標を共有し、アカウントプランの設計からニーズの発掘、ナーチャリング、停滞商談の掘り起こしまで、中長期的な視点でアカウントをマネジメントしています。すなわち、デジタルセールスが営業の相棒(Buddy、バディ)として、ABSを実践しているのです。
商談を進める「立体的なアプローチ」とデジタル活用
高橋 具体的には、どのようなアプローチをされているのでしょうか。
重松「3Dアプローチ」という手法を実践しています。大手企業のお客様の場合、ひとつの商談に関わるステークホルダーは10名以上におよぶこともあります。そこで、今会えている担当者だけではなく、上司やとなりの部署など、組織を立体(3D)で捉えてコンタクトを発掘し、バインググループ(購買集団)を構築していくことで、商談を前に進めています。

また、新しい取り組みとして、お客様のニーズと、それにマッチする商材を富士通が提供する約3,000種類から見つけ出し、確度の高い状態で営業へトスアップする「ブリッジセリング」という支援機能を設置する挑戦も考えています。
高橋 それらの活動を支えるのが、徹底したデータ活用ですね。
重松 そのとおり。デジタルセールスと名乗る以上、ツールはフル活用していますね。
たとえば、商談解析ツールを活用して、お客様との会話をすべて言語化しています。さらに、デジタルセールスで定めた9つの商談基準をAIに学習させ、商談の質を自動でスコアリングしています。メンバーはこのスコアを見て、自分の商談のどこが足りないのかをセルフマネジメントできるのです。
高橋 データから、商談の停滞も検知できるとか。
重松 はい。過去の膨大なデータから、「何日以上ステージが動かない商談は成約率が大幅に下がるか」という閾値を導き出しました。
その日数を超えると自動的にレポートが上がり、デジタルセールスが再アプローチして停滞理由を解消したり、クローズした商談を掘り起こしたりする仕組みを回しています。

