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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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SalesZine & Beyond 2025

2025年10月23日(木)12:30~17:45

SalesZine Day 2025 Summer

「カスタマーサクセス」に必要な基盤とは ソフトバンク・弥生の事例から学ぶ

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 昨今、商品やサービスを通じた顧客体験を最大化するために、企業が積極的に支援を行う「カスタマーサクセス」という概念が重要視されつつあります。しかし、企業の収益増加や事業成長にとって欠かせない概念でありながらも、“カスタマーサポート”との違いを正しく認識したうえで、組織として専門職を設置している企業はまだ限られているかもしれません。2025年7月24日に開催されたSalesZine Day 2025 Summerでは、「カスタマーサクセスを実現するためのインフラとは?実践企業が徹底解説」と題して、ソフトバンクの小林香菜さん、弥生の銭谷里果さんが登壇。日本カスタマーサクセス協会代表理事の山田ひさのりさんがモデレーターを務めつつ、その重要性や、企業が新たに導入するうえでのポイントについて、事例を交えた解説を行いました。

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カスタマーサクセス立ち上げのきっかけ

山田(日本カスタマーサクセス協会) 本日はカスタマーサクセスを実現するためのインフラと題しまして、ソフトバンクと弥生の2社に登壇していただきます。両社ともに歴史が長い会社で、カスタマーサクセスの取り組みを本格的に推進されてきています。

一般社団法人日本カスタマーサクセス協会 代表理事 山田 ひさのりさん
「CSの教科書」として活用されている『カスタマーサクセス実行戦略』(翔泳社刊)の著者。Sansan株式会社にてカスタマーサクセス部門の責任者を歴任後、SaaS特化のベンチャーキャピタルである、ALL STAR SAAS FUNDのカスタマーサクセスアドバイザーに就任。現在はsasket LLCを設立し、様々な企業のカスタマーサクセスを支援。2024年11月、カスタマーサクセスの普及を目的とする、一般社団法人日本カスタマーサクセス協会を設立、代表理事に就任。イベント・カンファレンスでの講演活動なども精力的に実施している。

小林(ソフトバンク) 私は2019年にソフトバンクに入社したのですが、当時はカスタマーサクセスの部門はありませんでした。その後、2022年にカスタマーサクセス本部が設立されまして、私はマネージャーとして立ち上げに関わりました。現在は、CS Ops(※カスタマーサクセスオペレーション:チームの基盤づくりや戦略設計など)に携わっています。

 部門の構造としては、法人事業統括部の中にカスタマーサクセス本部が含まれておりまして、営業の皆さんと一緒に対応しております

ソフトバンク株式会社 カスタマーサクセス本部 CSイネーブルメント統括部

イネーブルメント部 プランニング課 小林香菜さん
食品会社でフィールド営業を経験後、インサイドセールスのアウトソーシング企業に転職。2019年にソフトバンクに入社し、インサイドセールスチームのセールスイネーブルメントを担当。2022年にカスタマーサクセス本部が発足し、プロアクティブにCS活動を行うチームのマネジメントを経験。その経験を活かし、現在はCS OpsとしてソフトバンクとしてのCS活動推進や、デジタルCSの確立の取り組みを行う。

山田 ソフトバンクさんは、知る人ぞ知るカスタマーサクセスに注力されている大企業ですね。前衛的な取り組みをいち早く進めている印象があります。

銭谷(弥生) 私はもともと、外資系のSaaS企業にてSDR/BDRをプレイヤーからマネジメントまで経験しておりまして、2年前に初めて日系企業の弥生に入社しました。当時、社内にはBtoBのセールスを担当するチームがいなかったため、プリセールスからポストセールスまでを担うチームの立ち上げを担当するかたちで入社しまして、現在はチームのマネジメントをしています。

弥生株式会社 セールス&マーケティング本部 マーケティング統括部

インサイドセールス&カスタマーサクセスチーム 銭谷里果さん
2023年8月に弥生株式会社に入社。ダイレクトセールスの強化をミッションにSMB向けインサイドセールス及びカスタマーサクセスの組織の立ち上げに従事。テクノロジーと人を組み合わせたCS活動を推進中。

山田 弥生さんは創業1978年の老舗ですよね。クラウドとパッケージ製品の割合はどのくらいなのでしょうか。

銭谷 実は、依然としてパッケージ製品が過半数を占めています。こうしたパッケージ製品では、電話でのサポートが付帯していますが、年間契約で終わってしまいます。ビジネスモデルに対する課題もありつつ、法令改正等によるアップデートをお客様に届けづらい側面もありました。こうした背景もあって、とくにSaaS製品を軸としたカスタマーサクセスを意識し始めたという流れがあります。

カスタマーサクセス白書から見えてきた傾向

山田 まず、カスタマーサクセス協会が、『カスタマーサクセス白書』としてまとめた最新の調査から、興味深い示唆がいくつか得られています。本日はそこから2点を紹介したいと思います。

 ひとつめは、ネット・リテンション・レート(NRR)の傾向です。これは「既存顧客」からの収益がどれだけ成長したかという指標のこと。経営のカスタマーサクセスへの理解が高く、そこに注力できている会社は、NRRが高いという傾向がありました。そして、これはSaaS事業者、非SaaS事業者問わずに共通していました。

画像を説明するテキストなくても可
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山田 ふたつめは、カスタマーサクセスに関して導入しているツールの傾向です。CRM(顧客関係管理)や、SFA(営業支援システム)、カスタマーサクセスプラットフォームの導入と、NRRの高さを照らし合わせてみると、カスタマーサクセスを促進する何らかのツールを導入している企業のNRRが高くなりました。

画像を説明するテキストなくても可
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山田 とくにSaaS事業者に顕著でしたが、非SaaS事業者でもある程度関連があるようでした。なお、理由については、「ツールを入れるくらいの意識があるから」なのか、あるいは「ツールを入れたから」なのか——正確な因果関係はわかりません。

 こうした傾向を踏まえた結論として、我々としては「何らかの顧客管理ツールを導入する必要性があるだろう」と啓蒙しています。

次のページ
「カスタマーサクセス」が重要なビジネスモデルの特徴

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この記事の著者

井上晃(イノウエアキラ)

ITライター・エディター。モバイル業界を中心に取材し、IoTやロボットなどを含め、多岐にわたるテーマの記事を雑誌やWebメディアで執筆。雑誌・ムックの編集にも携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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SalesZine(セールスジン)
https://saleszine.jp/article/detail/7510 2025/09/08 07:00

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