音声×AIで挑む、営業の「ブラックボックス」化問題
「音声データの活用は、営業現場のブラックボックスを解き明かす鍵になります」
そう語ったのは、RevCommの疋田和可奈氏。疋田氏は、スタートアップや外資系企業でのカスタマーサクセスやインサイドセールス立ち上げなどを経て、現在はRevCommでインサイドセールス部門を統括している。
「レボリューション×コミュニケーション」を由来とする、スタートアップ企業のRevComm。「AI×音声技術」に特化したコミュニケーションのプラットフォーマーになるべく事業を展開しており、アジアで唯一「Forbes AI 50 2023」に選出されたほか、世界最大のテクノロジー展示会「CES」でAI部門のイノベーションアワードを受賞するなど実績を重ねている。

その主力サービス「MiiTel」は、対面、ウェブ会議、電話など、あらゆるシーンの会話をデータ化し、AIで分析する音声解析AIだ。短期的には営業人材のスキルの標準化や生産性向上を実現し、中長期的には、膨大な音声データを資産化することで顧客インサイトを分析して、企業の意思決定や問題解決のプロセス改善に寄与する。すでに約2,500社、累計8万ユーザーが利用しているという。

本講演では、オンライン会議を解析する「MiiTel Meetings」をベースとして、営業プロセス改善の具体的な手法を解説した。
「テキストや画像のAI活用は一般化してきましたが、音声の活用はまだこれから。音声をテキスト化して終わりではなく、そのデータを活用することで、データドリブンな経営や人材育成ができるのです」(疋田氏)

株式会社RevComm Inside Sales Group Manager 疋田 和可奈氏
これまで、SIerからスタートアップ、外資系企業にてマーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセスなど幅広い経験を積む。近年はインサイドセールスマネージャーとして、実践的かつ戦略的なアプローチで成果を追求している。2024年12月よりRevCommに参画。
まず疋田氏は、営業現場におけるブラックボックス化問題に言及した。一般的な営業プロセスでは、CRMやSFAなどのツールを活用し、顧客と自社の関係構築や進捗管理を行っている。その活動を最大化する仕組みとして、セールスイネーブルメントを推進している企業が多いが、その障壁となるのがこのブラックボックス化問題だという。
「たとえば、商談の中身を共有する際に、担当者の主観や記憶、バイアスなどによってニュアンスが伝わらず、正しい情報が把握できなかったり、クローズアップされる部分に差異が生じたり。こうなると、個人や組織において営業の質の改善やPDCAが回しづらくなり、悪影響を及ぼしかねないのです」(疋田氏)