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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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SalesZien Day 2025 Winter

2025年1月28日(火)13:00~18:20

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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イベントレポート

AI活用、フォーキャスト自動化──富士通 福田氏×ソフトバンク 藤長氏と考える商談マネジメントの未来

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 2025年1月14日、セールス・イネーブルメントの最新トレンドと成功戦略に焦点を当てる「Next Enablers 〜組織を変える者たちへ〜」が開催された。第3回となる今回は「商談マネジメント」をテーマに、テクノロジー活用や組織変革について議論が交わされた。本レポートでは、amptalk 猪瀬氏をモデレーターとして、富士通 福田氏とソフトバンク 藤長氏が対談した「大企業の営業DX:商談プロセスのデジタル変革とは」の様子をおとどけする。

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フォーキャストは“心理戦”? SFAの入力を阻む壁

猪瀬(amptalk) 商談マネジメントというテーマでおふたりに率直にうかがいたいのが、SFA活用です。導入しても活用が進まない最大の理由は入力の問題かと思いますが、両社ではどのような課題がありますか。

福田(富士通) 私が富士通に入社した5年前は、仕方なくSFAを使っている感じでしたね。モチベーションが上がらないのは、入力の負荷に比べて得られるものが少ないからです。いかにマネジメント層と現場双方にとっての価値をつくれるかが重要です。

また、失注したら怒られる、期末に成約したら褒められる環境では、営業は“匠”となり、フォーキャストは“心理戦”となっていきます。正確な数字を入力してくれるわけがありません。

その中でいかにデータの成熟度を上げていくかは、テクノロジーというよりもむしろ、ルールやマネジメント、カルチャーの問題です。SAPで劇的な変化が起こったのも、これらの変革によるものでした。

富士通でも、まさにこの壁を乗り越えようと挑戦しているところです。現在はグループ全体でルールを標準化し、サイロ化していた約31種類ものCRMを統合して、意味のあるデータを取得できるように取り組んでいます。マネジメント目線ではかなり変化が生じていますが、現場目線ではこれからです。

富士通株式会社 執行役員 EVP CDXO(最高デジタル変革責任者) CIO(最高情報責任者) 福田譲氏
1997年SAPジャパン入社、23年間勤務、2014~20年の約6年間、代表取締役社長。2020年4月、富士通に入社、現職。CDXO(最高デジタル変革責任者)および社内のITの責任者CIOとして同社自身のDX、日本型DXの探索・実践とフレームワーク化、そしてそれらの変革を推進するITシステム、IT部門、IT人材、そしてITガバナンスへの変革に取り組んでいる。

猪瀬 SAPでの劇的な変化とは、具体的にどのようなものだったのでしょうか。

福田 予測性が高まったことで、企業全体のリソース配分や戦略立案、オペレーションを中長期的な視点で運営できるようになりました。

とくにBtoB営業は1つひとつの商談金額が大きく、数字がぶれやすい傾向があります。外資のグローバルカンパニーでは、四半期ごとに非常にハイプレッシャーかつハイグロースなクロージングを求められますが、私が2014年に日本法人の社長になったころは“出たとこ勝負”な側面があり、期末になってしばしばフォーキャストが上下していました。

しかし、3四半期(9ヵ月先)の数字が見通せるようになると、営業組織の行動ががらりと変わりました。一貫性をもって、持続的に成長する行動へと変化したのです。

猪瀬 経営的にはとても理想的な状態です。一方で、現場による入力の徹底はどのようにマネジメントされたのですか。

amptalk株式会社 代表取締役社長 猪瀬竜馬氏
2010年に早稲田大学卒業後、大手化学メーカーにて営業・マーケティングを経験。2年間ペンシルバニア州の米国の医療機器メーカーでProduct Marketing Managerを経験し、営業500名に対しセールスイネーブルメントツールを用いたDXのプロジェクトをリード。2018年スペインie Business schoolにてMBAを取得。国内におけるセールスイネーブルメントの課題を解決するために、2020年にamptalk株式会社を創業。

福田 SAPは自社製品のCRMを活用し、グローバル標準のオペレーションが存在しました。このオペレーションのレベルが向上したことが商談マネジメントに変化をもたらしたのですが、ひとつが、商談をクローズしていくポイントを標準化したことです。たとえば、従来はマネージャーに提案内容をレビューされる際、人によって異なる箇所を指摘され、何度も資料やデータを修正することで現場は疲弊していました。そこでSAPでは、商談パイプラインマネジメントの“へそ”となる8つの項目を特定し、それ以外は問わない仕組みにしたのです。

もうひとつが、SFA/CRMに入力するほど営業担当が楽になる仕組みをつくったことです。営業戦略に沿って行動してSFA/CRMに反映し、8つの項目をすべてクリアしたらレビューが不要になる仕組みをつくりました。これが非常に効果てき面で、営業担当が自発的に入力するようになりました。

猪瀬 ソフトバンクさんではいかがでしょうか。大企業ならではのSFA活用の難しさや、挑戦したいことはありますか。

藤長(ソフトバンク) オンプレミスで運用していたSFAをクラウドにリプレイスすると聞き、わくわくしたことを覚えています。しかしそこから、“大企業あるある”の問題に直面しました。SFAをカスタマイズしすぎたのです。

結果として活用が進まないうえに、少し変更するだけで数億円のコストがかかる柔軟性のないSFAになってしまいました。業務にSFAを合わせるのではなく、SFAの標準機能や業務プロセスに合わせて業務を変革していくことをおすすめします。

将来的にはSFAを経営の指針にしたいと考えていますが、そのためにはSFAの入力が経営に直結していることを営業現場に認識してもらい、モチベーションを高めることが必要不可欠です。まさに試行錯誤しているところです。

ソフトバンク株式会社 専務執行役員 藤長国浩氏
2000年ソフトバンクネットワークス(現・ソフトバンク)に入社し、流通業界・通信業界を中心に大手企業への法人営業に従事。2016年に法人事業戦略の責任者に就任。事業戦略およびマーケティング担当の常務執行役員を経た後、2023年4月より新たにプロセスマネジメント、カスタマーサクセス、デジタルマーケティング全般を担当。同年6月に専務執行役員に就任(現任)。

猪瀬 福田さんは以前、現場のメンバーを交えてモチベーション向上のアイデアをディスカッションしたそうですね。

福田 SFA活用や商談マネジメントはマネジメント目線で考えてしまいがちですが、数多くの失敗を経て感じるのが、やはり営業現場の目線で考えないと運用が回りません。たとえば方向性だけを示して、具体的な方法は現場に考えてもらうなどの工夫が必要です。

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AI活用で、商談マネジメントの未来はどう変わる

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この記事の著者

SalesZine編集部 高橋愛里(セールスジンヘンシュウブ タカハシアイリ)

1992年生まれ。新卒で総合情報サービス企業に入社し、求人広告の制作に携わる。2023年翔泳社入社。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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