全営業を「平均70点」へ 現場を巻き込むイネーブルメントの次なる挑戦
山下 今後、イネーブルメント領域でチャレンジしたいことを教えてください。
岡田 個別の営業部隊に対する企画としての寄り添い方や、一緒に成果を上げていく点では、今回のやり方が確実だと実感しました。ただ、我々が本当に実現したいのは、全営業の平均点を70点に引き上げること。これが企画の役割です。全国数百人の営業に対して、どうすれば九州と同じことを展開できるのかが悩みどころですね。
山下 たしかに、今回の取り組みを全社へ展開するにあたって、営業組織ごとに状況やニーズの違いは出てくるでしょう。
イネーブルメントを全社へ推進する際では、イネーブルメント専門組織、体系化されたイネーブルメントプログラム、そしてSales Cloudとアセスメントデータによる効果測定という「組織・プログラム・データ」の3点セットが必要です。プログラムはすでに九州営業部の型がありますから、チューニングしながら段階的に整備していくと良いですね。
加えて「こういう成果が出たから、ほかの営業でもぜひ試してみてほしい」と発信していく社内マーケティング的な活動も、取り組みを広めるうえで重要となります。
岡田 まさに今回の取り組みの成果も、社内に発信していきたいですね。
山下 最後に、イネーブルメントに取り組むリーダーの方々へ、メッセージをいただけますか。
岡田 企画部が「こういう施策を打ちたい」と伝えた時、営業現場が自分事として動けるかどうかが非常に重要だと感じています。そのためには、やはり営業現場の苦しみや実態を理解している人がイネーブルメントを推進しないと、うまくいかないだろうと感じますね。私たちも手探りでしたが、悩んでいるリーダーがいれば、ぜひ現場の状況をよく理解したうえで取り組むことをお勧めします。
阿江 まさに、「研修を受けて終わり」ではなく、営業現場のマネージャー自身が前のめりとなり、主体的に参加することが結果につながると思います。今回の取り組みに参加した営業課長たちも、楽しみながら進めていました。ぜひ、前向きに取り組んでいただければと。

山下 今回のエプソン販売さんの取り組みは、販売店を意識しながら営業自身が案件をつくるという、非常に難しい挑戦だったと感じます。そうした中、会社の事業環境、企画部の意図、現場の主体性、プログラムをイネーブルメント施策によってうまくつないだことで、高い成果を生み出したのではないでしょうか。ぜひ、今回の成功事例を全社へと展開していただけると良いですね。本日はありがとうございました。