データと組織のサイロ化を解消し、営業を“科学”する
山下(Xpotential) 伊丹さんのキャリアと現在のお役割をうかがえますか。
伊丹(TIS) 1998年にTISへ入社後、データ分析やDWH(データウェアハウス)、ECサイト構築、データセンター事業など、時代時代の新規事業の中で、一貫してソリューション営業に携わってきました。2024年4月より現在のデジタルイノベーション営業推進部に所属しています。
同組織のミッションは大きく分けて4つあります。ひとつがデジタルイノベーション営業統括部全体の組織運営、ふたつめが内勤営業チームの統括、3つめが事業開発やSales techの運用、ナレッジの共有といった営業企画の役割、そして4つめが営業人材の育成です。

山下 今回TISさんは、デジタルイノベーション営業推進部の主導により、全社統一のSalesforceを構築しました。その取り組みの背景をお聞かせいただけますか。
伊丹 TISには全社で約6,000名が在籍しており、複数の事業本部・営業組織が存在します。その中で、デジタルイノベーション営業統括部をはじめとする4つの営業組織では、すでに別のSFAを利用していました。
しかし、管理すべき項目や案件管理の設計、活用方法は組織によってバラバラで、ノウハウやデータが分断していたのです。組織もサイロ化しており、一社の企業に対して複数の事業本部がアプローチすることもある中で、お互いの活動が見えてこない状態でした。
本来、お客様との接点情報や行動履歴といったデータは、営業を“科学”するための“宝の山”と言えます。しかし、実際には成約や失注の要因も検証できていない。こうした問題を解決して、全社でデータを活用していくため、今回の取り組みがスタートしました。
山下 どのような体制で取り組みを推進されたのですか。

伊丹 まずは副社長をオーナーとして、全社から各事業本部の営業関係者を集めてタスクフォースを結成しました。全体で約40人ほど、私のチームからは5名が参加しています。各営業組織のキーパーソンが参加したのは、プロジェクトを進めるうえで大きな力となりましたね。このメンバーで3ヵ月ほど議論を重ね、何度かのスプリントを経て、約半年で全社統一のデータ活用基盤を構築していきました。現在は全社で約800名、デジタルイノベーション営業統括部では約130人の営業がSalesforceを活用しており、ログイン数や案件登録数も順調に増えています。