さまざまなハイパフォーマーがいるという認識
山下(R-Square & Company) 現在イネーブルメント組織のリーダーとして活躍されていますが、社内でどのように営業に関わってこられたのかうかがえますか。
渡邉(ソニービズネットワークス) 前職では法人向けのネットワークを中心としたソリューション営業を経験し、ソニービズネットワークスには立ち上げ当初の2012年10月に入社して、ちょうど10年めですね。入社後は、直販営業の責任者としてNUROの法人向けサービスの立ち上げを担当しました。
もっとも印象的なのは2017年からスタートした、大阪・名古屋・福岡の営業所立ち上げ経験です。このときに分業型の営業組織やパイプラインマネジメントを学ぶ必要性が出てきて、山下さんの著書に出会ったんです。楽しく読むことができたのが印象的でした。書籍との出会いをきっかけにセールス・イネーブルメントへの取り組みを会社に提案し、今に至ります。
山下 ありがとうございます。営業責任者にもさまざまなタイプの方がいますが、渡邉さんは「属人的なスタイルから脱却したい」ともともとお考えだったのでしょうか。
渡邉 もともとではないですね。前提として私が新卒入社したころは、「営業はテレアポしてなんぼ」の世界です。成果が出ずに疲弊している同僚も多かったですし、訪問営業が中心で商談の様子やハイパフォーマーの振る舞いをうかがい知れない時代でした。
大阪支社の立ち上げが、私の考え方を変えるひとつの契機でした。大阪支社のカバーする地域は広く、東京都内と比較すると、駅からタクシーを使う必要がある立地の企業も少なくありません。加えて人は現地採用で金融や不動産業界出身の未経験人材も多かったため、当初は私が営業同行せざるを得ませんでした。そこで、リソースを適切に活用するためにオンライン商談をスタートしたのです。その中で、商談の型化や分業体制などに関心を持ち始めました。
ただ強いていうならば、営業にはさまざまなタイプのハイパフォーマーが存在しますし、私自身「自分の営業スタイルがいちばんすごい」と思ったことがないタイプではありますね。たとえば、私が契約獲得とならなかったお客様に対して、2年めの新人が契約獲得をすることはあるはずです。そのうえでなぜ契約に至ったのかを言語化することは大切にしています。
山下 個々の営業パーソンの強みを可視化し組織強化に活かす素質があったからこそ、2017年という早いタイミングでオンライン商談の導入も主導できたのかもしれないですね。
渡邉 そうですね。当時はチャレンジでしたし、商談時自身のカメラをONにしないなど営業も最初は嫌がっていました(笑)。