「潜在的な見込み顧客」の状況を察知できるか
次に、松井氏は「上流での検討状況の察知」の必要性について説明した。多くの企業では、インサイドセールスがKPI達成を優先するあまり、潜在層と顕在層を区別せずにアプローチしてしまい、結果的に「売上につながらない商談」が増えていると明かす。
「無理やり設定したアポイントは、営業からマーケティングに対して『リードの質』に関する不満が出たり、ハレーションにつながったりします。そのアポイントの1時間は、マーケティングもインサイドセールスもフィールドセールスも、そしてお客様も、誰も得しない時間になってしまうんです」(松井氏)

ただし、「当日の見事な営業トークや商談で、案件化することも往々にある」とし、捨て置くこともできないと語る。
従来、顧客接点時の情報は、SFAやCRM、MAの属性がデータ化・スコアリングされ、優先順位の高いものからアプローチされてきた。

「この方法は間違ってはいないが、どうしても予測の域を出ない」と松井氏。「見込み顧客の課題が顕在化するか、優先順位が上がるトリガーを持っているかなどの部分について、予測の精度を高めるのは非常に難しく、商談の中でも営業のスキルや感性に依存する部分が多い」とこぼす。

「検討状況やフェーズを察知したアプローチができるかどうかは、リードや商談の質に直結する。言い換えるならば、上流施策において顕在化し切っていないリードの“検討フェーズがわかる情報を得ること”が重要なのです」(松井氏)