営業・マーケティング間で起きるハレーションの原因とは
DXOは、介護事業者向けのITソリューションを展開する創業10期めの企業だ。セールスフォワード事業部門の責任者である松井氏は、まず、営業とマーケティングの連携がうまくいかないことで生じる「ハレーション」について言及した。
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人材サービスを提供する上場企業にてマネージャーとして従事後、2021年にDXO株式会社へ入社。マネージャーとして営業部門を牽引し、事業売上高200%超の成長へ貢献。同時にM&Aの事業を立ち上げ、初年度から10社以上事業承継を支援。 現在は営業経験・マネジメント経験を活かして、「自動でサービスが売れる仕組み」を目指し、動画商談システムのセールスフォワードを開発。サービスの販売・改善を実施中。
Sansanのアンケートによると、成果につながらないマーケティング施策について、マーケティング部門の76%が「営業が悪い」と考え、営業部門の71%が「成果につながらない施策だ」と感じているという。
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さらにリードについて、マーケティングは74%が、「営業に渡しても受注につながらない」とし、営業は「渡されるリードの質が悪い」と65%が回答している。
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「この認識のズレによって、お互いが『お手並み拝見』の姿勢となってしまうだけでなく、組織内の非効率や業務の分断を引き起こしているのです」(松井氏)
続けて松井氏は、KPIへの認識が不十分な点を課題として挙げた。マーケティングは獲得リード数を、インサイドセールスは商談数を、営業が提案数を追うことで全体のパイプラインや受注数を追っているが、「毎日みんな一生懸命で、目先の数字を追うだけになっている。個人がKPIをより認識し、その先の『共通のKPI』を意識し、定期的に確認することが重要。とくに、リードの質や商談の成果に関する評価は、四半期や半年単位ではなく、より頻繁に行うべき」と指摘した。
「分業化が進んだ結果、上流での受注意識が低下しやすい。各部門が専門性を持ち効率を高めてきた一方で、各部門間の調整に時間がかかったり、利益相反の構造が生まれたりしている。横串を刺せていない、レベニューオペレーション視点の希薄さが、多くの課題の根底にあると考えています」(松井氏)
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「ぜひ分業化される前に行っていた、一気通貫の営業を思い出してみてください。各フェーズでどんなことをしていたか。たとえばマーケティング担当者が営業商談に同席するなど、施策ごとにすり合わせを行う場を定期的に設けるべきです」と松井氏は強調する。
「潜在的な見込み顧客」の状況を察知できるか
次に、松井氏は「上流での検討状況の察知」の必要性について説明した。多くの企業では、インサイドセールスがKPI達成を優先するあまり、潜在層と顕在層を区別せずにアプローチしてしまい、結果的に「売上につながらない商談」が増えていると明かす。
「無理やり設定したアポイントは、営業からマーケティングに対して『リードの質』に関する不満が出たり、ハレーションにつながったりします。そのアポイントの1時間は、マーケティングもインサイドセールスもフィールドセールスも、そしてお客様も、誰も得しない時間になってしまうんです」(松井氏)
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ただし、「当日の見事な営業トークや商談で、案件化することも往々にある」とし、捨て置くこともできないと語る。
従来、顧客接点時の情報は、SFAやCRM、MAの属性がデータ化・スコアリングされ、優先順位の高いものからアプローチされてきた。
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「この方法は間違ってはいないが、どうしても予測の域を出ない」と松井氏。「見込み顧客の課題が顕在化するか、優先順位が上がるトリガーを持っているかなどの部分について、予測の精度を高めるのは非常に難しく、商談の中でも営業のスキルや感性に依存する部分が多い」とこぼす。
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「検討状況やフェーズを察知したアプローチができるかどうかは、リードや商談の質に直結する。言い換えるならば、上流施策において顕在化し切っていないリードの“検討フェーズがわかる情報を得ること”が重要なのです」(松井氏)
検討状況の把握を実現する「SALESFORWARD」
では、検討状況を把握するにはどうすればよいのか。松井氏は「トリガーを引くスクリプト」や「ヒアリング項目」などのノウハウは、すでにほとんどの営業組織が持っているはずだと指摘。そのノウハウをコンテンツ化するのが、DXOのSALESFORWARDだという。
SALESFORWARDは、見ている人が対話に近い体験を得られる動画システム。「対応型(インタラクティブ)動画」で、ショート動画と質問をつなぎ、シナリオを分岐させる。利用者の視聴データと回答結果から、サービスに興味がある人や検討している企業がひと目でわかるのだ。
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さらにSALESFORWARDは、人が繰り返し行うしかなかった一定のヒアリング情報の取得も可能にする。情報を事前に取得することでアプローチの精度や商談の質が高まり、受注に直結するアポや商談の数が増える。視聴者が確度の高いルートを通った際には、アラートを飛ばし、適切なタイミングでアプローチすることもできる。
リード獲得から受注手前までと、その活用フェーズも広い。たとえばアウトバウンドの営業や展示会やウェビナーの後追い、ハウスリストの掘り起こしをはじめ、反響営業のサイト内設置による適正プランへの誘導、診断コンテンツの生成などにも適している。メルマガやフォームDM、広告などの営業施策をアラート機能と合わせることで、より高い効果が期待できる。
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案件化率・提案数など生産性が40%向上した事例も
松井氏は、リードの質をめぐりマーケティング・営業間で摩擦が生じていたある企業でSALESFORWARDを導入した結果、案件化率や提案数などひとりあたりの生産性が約40%向上した事例を紹介。「自動的にヒアリングが進んだリストが増加し、アラートが届くと5分以内に架電するというルールを実行できた」と明かす。
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「動画を見ていて連絡がきたり、表示される広告が変わったりすることに嫌悪感を抱かれてしまうのではないかと懸念されるかもしれませんが、『〇〇について課題をお持ちということで、ご連絡しております』と添えることで、相手も会話を受け入れやすいものです。事前に課題を把握しているため、トークを想定でき、アプローチしやすくなったという評価をいただいています」(松井氏)
SALESFORWARDでは、営業が普段から商談で意識している、伝え方や声色、答えやすいコミュニケーションなどを意識して動画を作成できる。松井氏は、「準顕在層や潜在層がつい見て、つい答えてしまい、一部顕在化し、優先順位が上がる仕組みを作りたい。マーケティングと営業のインタラクティブな視点を入れると、よりおもしろいのではないか」と語る。
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ほかにも細かな点に配慮している。たとえばシナリオ作成では、営業のSPIN話法を用いたり、秒数や文字数などもセオリー化したりしている。
「視聴数ぐらいしか追えず効果が測りにくいのでは」という想定される批判の声に対しては、「実は私もこれまで、営業に動画を用いることに比較的反対でした。自分が喋ったほうが売れると思っていましたし、用意された動画を営業で活かせたためしがなかった」と苦笑する一方で、SALESFORWARDは「ハレーションの解消と検討状況の察知を一度に実現し、商談獲得に特化させて活用できる。常識を覆すツールです」と強調する。
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さらに、SALESFORWARDを介することで営業とマーケティングの連携が増えるという。「まず、営業が責任を持って運用できることがメリットです。ホットルートのアラートだけさばくというシンプルな運用もできる。反響が来なければ、自分たちのシナリオのせいだと認識し、マーケティングとの間にハレーションも起きにくい」と説明する。
ハレーションの解消と検討状況の察知を同時に実現できるDXOのSALESFORWARD。「質の高い商談」を増やし、限られた営業リソースを活用し成果を最大化するツールとして、今後、ますます注目が高まっていくだろう。