プロフェッショナル職として「事業成長のエンジン」へ
──今後の日本のインサイドセールスはどのような変化を迎えると思いますか。
栗原 新規顧客獲得のオペレーション効率化は、そう遠くない将来ツールやAIに代替されていきます。これからのインサイドセールスは、よりクリエイティブな活動へ変化していかなければなりません。
たとえば、インサイドセールスは市場のニーズ把握や、製品・サービスのコンセプトのA/Bテストを行いやすい立ち位置にいます。それらをプロダクトマネージャーや事業責任者にフィードバックしていくことで、より良いプロダクトや事業を生み出す起点になることができれば、これまで以上に高い価値を発揮できるのではないでしょうか。
原 繰り返しになりますが、インサイドセールスは、サービスやプロダクト、会社のブランド力を向上していくためのマーケティングコミュニケーションのひとつとなり得ます。
加えて重要なのが、自社が解決できる課題を持っている顧客の選定です。課題を整理するための思考力とコミュニケーション力、仮説力が重要となるため、ツールやAIよりも人が仮説を立てるほうが精度が高く、スピードも速いのです。ファン形成と顧客選定という“人”を介在させていく領域が、これからのインサイドセールスの価値になってくるでしょう。
──組織の立ち上げや強化など、それぞれのフェーズでインサイドセールスに挑戦する各社のリーダーたちに向けて、メッセージをいただけると嬉しいです。
原 読んでいただいた内容をチームに還元して、ぜひ自社のインサイドセールスをアップデートしてほしいと思います。インサイドセールスは、事業を成長させるためのひとつのセクションです。マーケターが考えるマーケティングコミュニケーションや、経営層やプロダクトマネージャーが考える理念や方向性と連動していくことで、非常に大きな売上インパクトを生み出すことが期待できる仕事です。これからインサイドセールスに取り組む方々は、自社の事業を成長させるエンジンとして、プライドを持って挑戦してほしいです。
栗原 インサイドセールスは採用が難しく、離職率も高い仕事です。フィールドセールスへステップアップする前の修行期間、退職後に再雇用されたメンバーで構成される部門などといった印象があり、職業の魅力が低く見積もられている気がします。プロフェッショナル職として認知を得られていないのが現状です。
アポイントを何件とれたかだけにフォーカスしていては、高揚感も続きにくいでしょう。ぜひ、PMFさせるために顧客の声を拾っていく、自社のコンセプトやメッセージを検証していくなど、事業成長に貢献する役割として認識していただけると良いですね。
──今まさにインサイドセールスのあり方が変化するタイミングで、ぜひ本書を手にとっていただきたいですね。本日はありがとうございました!
【12月18日発売】『インサイドセールス 実践の教科書 立ち上げから組織づくり、事業成長まで』
インサイドセールス 実践の教科書
立ち上げから組織づくり、事業成長まで
著者:原秀一、名生和史、原口拓郎 著
監修:栗原康太
発売日:2024年12月18日(水)
定価:2,200円(本体2,000円+税10%)
本書について
本書では、インサイドセールスに10年以上携わり実績を積み上げてきた才流とセールスリクエストの両者著者陣が、顧客を見つけ、管理・分析し、関係性を築いていく方法を惜しみなく紹介しています。