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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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SalesZien Day 2025 Winter

2025年1月28日(火)13:00~18:20

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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『インサイドセールス 実践の教科書』に学ぶ 「事業成長のエンジン」となる組織の立ち上げから成熟まで

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 新規顧客獲得や営業生産性の向上を目的としてSaaS企業を中心に普及した「インサイドセールス」。しかし現在、その期待される役割や価値は次のステップへと進んでいるという。そのトレンドを踏まえて2024年12月18日に刊行されたのが『インサイドセールス 実践の教科書 立ち上げから組織づくり、事業成長まで』(翔泳社)だ。才流とセールスリクエストの共著で執筆された本書には、10年以上にわたりインサイドセールスに携わってきた両社の知見とノウハウが凝縮されている。インサイドセールスが抱えている課題と、これから期待される新たな役割について、本書の内容にも触れながら話をうかがった。

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見込み客の「脳内SEO1位」を獲得 インサイドセールスへの期待

──『インサイドセールス 実践の教科書 立ち上げから組織づくり、事業成長まで』(翔泳社)の上梓おめでとうございます。どのような課題に基づき、2社による共著で本書を刊行されたのでしょうか。

栗原(才流) インサイドセールスが日本に登場して約10年、非常に素晴らしい書籍が多数出版されました。その功績も踏まえながら「インサイドセールスに取り組む企業が増えた今こそ、より実践的な知見やノウハウに関する書籍をつくりたい」と考え、本書の執筆に至りました。

 当社はインサイドセールスの研修やコンサルティング支援を行っており、概論やフレームワークをお伝えする面では実績があります。一方で、組織は何人で立ち上げるべきか、メールの内容や送信する時間、フォローの頻度といったノウハウは、実際にインサイドセールスを実践していないと説明できません。

 そこで、我々の顧客のインサイドセールス立ち上げやパートナー開拓など、数々のプロジェクトをご一緒しているセールスリクエストさんに協力をお願いしたのです。

株式会社才流 代表取締役社長 栗原 康太さん

原(セールスリクエスト) お声がけいただいて本当にありがたかったです。我々は2019年ごろから才流さんの顧客企業のインサイドセールスを支援しています。才流さんがマーケティング戦略を立案し、我々が最初の顧客接点において実際に折衝を担う中で、全体最適から部分最適まで網羅したノウハウ・ナレッジが蓄積されていました。

 加えて、インサイドセールスは商談数の最大化という短期的な成果に限らず、サービスやプロダクトのファン形成に直結する重要な部門だとつねづね感じていました。この視点を持って、発信したいと思っていたところで、書籍執筆の話をいただいたのです。

──改めて、インサイドセールスの重要性や期待を教えてください。

 顧客接点を強化できるため、当然、商談機会が増えます。しかしそれ以上に重要な価値は、自社やサービス・プロダクトのファン形成につながることです。

 多くの場合、顧客は自社が抱える課題を整理できていません。そこでインサイドセールスがテキストと言語コミュニケーションを用いて顧客の課題を整理し、方向性を示すのです。そのときは商談につながらなくても、顧客からは「良い会社だ」と認知されるでしょう。インサイドセールスの活動は、顧客のニーズが顕在化した際、真っ先に想起される「脳内SEO1位」の獲得に直結するのです。

株式会社セールスリクエスト 代表取締役 原 秀一さん

栗原 インサイドセールスの重要性や期待は、事業のフェーズによって異なります。事業の立ち上げ期やPMF(Product Market Fit)前は、代表やフィールドセールスが一気通貫で商談獲得から営業、カスタマーサクセスまで行うため、インサイドセールスは必要ありません。事業拡大のフェーズで初めて、商談・受注獲得の効率を上げるため、分業によるインサイドセールスが必要になります。

 PMFしたのち、次のPMFに向けて新しいセグメントを開拓していくフェーズでは、市場の見込み客の声や状況の変化をフィードバックする機能が必要になります。そこでもっとも市場との接点を持つインサイドセールスが、活動の中で得た情報をプロダクトマネージャーや事業責任者へフィードバックする役割が期待されます。

確実に実行し、成果を出すための1冊 注目の章を紹介

──本書はインサイドセールスの立ち上げ、成長期、拡大と、フェーズに沿って構成されています。この構成はどのような狙いがあるのでしょうか。

栗原 本書は、10年前から先行してインサイドセールスに取り組んでいる企業よりも、これからインサイドセールスに取り組む企業を想定して執筆しています。そのため料理のレシピのように段階的にメソッドを伝えることで、インサイドセールスを確実に実行し、成果を出してもらえる構成を心がけました。

 また、マーケターやレベニューマネージャーなど全体最適を担う方にも役立つ情報を提供したいという思いもありました。インサイドセールスはフェーズによって様相がまったく異なります。その目的も新規顧客開拓だけにとどまらず、戦略やリソース配置、KPI、マーケティングコミュニケーションなど、ひとくくりに「インサイドセールス」では片づけられません。自社のフェーズで改善インパクトあるものは何か、インサイドセールスに直接関わっていない方々のヒントになれば嬉しいですね。

──おふたりがとくに注目してほしい章を教えてください。

 第7章の「売上を最大化させる『成熟期』」です。成熟期はすでに一定の顧客から成約や認知を獲得していますが、そのうえで、自社を必要としていない層を開拓していかなければなりません。非常に難易度が高いフェーズといえます。

 成熟期にこそ実行すべきこと、成果につながった事例をしっかりとお伝えしているつもりです。今まさに拡大・成熟していくフェーズの企業には、持ち帰っていただけるものがあるのではないでしょうか。

栗原 第3章の「立ち上げ前に考えておきたいこと」では、マーケティング戦略の立案、ペルソナやバリュープロポジションの定義、カスタマージャーニーに基づく施策設計についてお伝えしています。

 インサイドセールスで成果が出ない理由として、コール数や追客が不足しているからだと思う方は多いです。しかし実際はオペレーション上の問題ではなく、正しい市場に正しい製品・サービスを提供できていない、PMFしていないケースがほとんどです。

 インサイドセールスは、売れる状態のものをより効率的に売るための施策であり手段です。少なくとも、商談すれば一定以上の確立で受注できるレベルまでPMFしていないと、インサイドセールスを立ち上げても成果は出ません。インサイドセールスで成果が出ていないときこそ改めて、前半の章で意識していただけると良いのではないでしょうか。

インサイドセールスが「既存顧客のクロスセル」に貢献

栗原 また、原さんから教えていただいて、第3章・第7章でも触れたのが「カスタマーインサイドセールス」です。新規顧客獲得の効率化ではなく、既存顧客とのコミュニケーションにおいてインサイドセールスが活用できるという考え方です。

 顧客基盤と複数の製品・サービスを有する中堅/大手企業は、新規顧客獲得より既存顧客からのクロスセル/アップセルが重要です。ところが、フィールドセールスは忙しく、クロスセル/アップセルを目的としたアプローチまで手が回りません。またカスタマーサクセスについても、すでに製品・サービスを導入している顧客からの問い合わせや、活用支援に注力し、商談機会の創出は難しい場合があります。そこでインサイドセールスが、情報発信やアポイントの獲得など能動的なアプローチを担い、既存顧客との関係を構築していくのです。

 コロナ禍を機に、中堅・大手企業からインサイドセールスの立ち上げについて相談いただく機会が増えました。それらの企業はインサイドセールスに対して新規顧客の増加や生産性の向上を期待していますが、お話しするうちに、自社が抱える本当の課題は既存顧客のクロスセル/アップセルなのだと気づきます。今後はカスタマーインサイドセールスに注目する企業が増えるのではないでしょうか。

 インサイドセールスを、「マーケティング・営業DXに取り組む際には、必ず投資すべき領域」だと捉えている大企業が増えていますね。カスタマーインサイドセールスを実践している企業では、たとえばM&Aなどを通してサービス・プロダクトを増やし、それを既存顧客に提案することでARPU(Average Revenue Per User)を高めている企業もあります。

 とはいえ、カスタマーインサイドセールスを実行するには、部門間の連携不足や「オレの客/ワタシの客」の問題による売上機会の損失など課題もあります。まだまだ先進的な一部の企業による取り組みなのが現状です。

プロフェッショナル職として「事業成長のエンジン」へ

──今後の日本のインサイドセールスはどのような変化を迎えると思いますか。

栗原 新規顧客獲得のオペレーション効率化は、そう遠くない将来ツールやAIに代替されていきます。これからのインサイドセールスは、よりクリエイティブな活動へ変化していかなければなりません。

 たとえば、インサイドセールスは市場のニーズ把握や、製品・サービスのコンセプトのA/Bテストを行いやすい立ち位置にいます。それらをプロダクトマネージャーや事業責任者にフィードバックしていくことで、より良いプロダクトや事業を生み出す起点になることができれば、これまで以上に高い価値を発揮できるのではないでしょうか。

 繰り返しになりますが、インサイドセールスは、サービスやプロダクト、会社のブランド力を向上していくためのマーケティングコミュニケーションのひとつとなり得ます。

 加えて重要なのが、自社が解決できる課題を持っている顧客の選定です。課題を整理するための思考力とコミュニケーション力、仮説力が重要となるため、ツールやAIよりも人が仮説を立てるほうが精度が高く、スピードも速いのです。ファン形成と顧客選定という“人”を介在させていく領域が、これからのインサイドセールスの価値になってくるでしょう。

──組織の立ち上げや強化など、それぞれのフェーズでインサイドセールスに挑戦する各社のリーダーたちに向けて、メッセージをいただけると嬉しいです。

 読んでいただいた内容をチームに還元して、ぜひ自社のインサイドセールスをアップデートしてほしいと思います。インサイドセールスは、事業を成長させるためのひとつのセクションです。マーケターが考えるマーケティングコミュニケーションや、経営層やプロダクトマネージャーが考える理念や方向性と連動していくことで、非常に大きな売上インパクトを生み出すことが期待できる仕事です。これからインサイドセールスに取り組む方々は、自社の事業を成長させるエンジンとして、プライドを持って挑戦してほしいです。

栗原 インサイドセールスは採用が難しく、離職率も高い仕事です。フィールドセールスへステップアップする前の修行期間、退職後に再雇用されたメンバーで構成される部門などといった印象があり、職業の魅力が低く見積もられている気がします。プロフェッショナル職として認知を得られていないのが現状です。

 アポイントを何件とれたかだけにフォーカスしていては、高揚感も続きにくいでしょう。ぜひ、PMFさせるために顧客の声を拾っていく、自社のコンセプトやメッセージを検証していくなど、事業成長に貢献する役割として認識していただけると良いですね。

──今まさにインサイドセールスのあり方が変化するタイミングで、ぜひ本書を手にとっていただきたいですね。本日はありがとうございました!

【12月18日発売】『インサイドセールス 実践の教科書 立ち上げから組織づくり、事業成長まで

インサイドセールス 実践の教科書 立ち上げから組織づくり、事業成長まで

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インサイドセールス 実践の教科書
立ち上げから組織づくり、事業成長まで

著者:原秀一、名生和史、原口拓郎 著
監修:栗原康太
発売日:2024年12月18日(水)
定価:2,200円(本体2,000円+税10%)

本書について

本書では、インサイドセールスに10年以上携わり実績を積み上げてきた才流とセールスリクエストの両者著者陣が、顧客を見つけ、管理・分析し、関係性を築いていく方法を惜しみなく紹介しています。

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https://saleszine.jp/article/detail/6644 2024/12/18 11:00

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