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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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営業の仕事は「売る」ことなのか? 「Buyer Enablment」をめぐる冒険

2024年7月12日(金)13:00~18:20

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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「美意識を持つ」「自分の“やりたい”をあえて残す」 澤円さん×今井晶也さんが語るAI活用の本質

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 あらゆるビジネス領域でAI活用が注目され、営業でもその機運が高まっている。今回、著書『The Intelligent Sales AIを活用した最速・最良でクリエイティブな営業プロセス』(翔泳社)を上梓したセレブリックス執行役員 カンパニーCMO/セレブリックス営業総合研究所所長 今井晶也さんが、圓窓 代表取締役 澤円さんと対談。営業の現場、組織、そしてリーダーは、業務においてAIとどう向き合うべきなのか。そしてこれからの営業リーダーにはどのような変化が求められるのか、語ってもらった。

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営業における注目のAI活用

今井さん/澤さん

──今井さん、『The Intelligent Sales』の上梓おめでとうございます! 書籍のテーマでもある「AI」を営業の業務にも活用しようという機運が高まっていますが、おふたりが注目している活用の事例はありますか。

今井(セレブリックス) ロールプレイングのお客様役をAIにやってもらう事例があります。やりとりだけでなく、お客様の心理状況がリアルタイムでスコアリングされて表示される──つまり営業に対する信頼や納得感などが数値で見えます。営業が切り返す内容次第でスコアが上がったり下がったりするんですね。ただ、実在する人間の場合、納得するかどうかはその日の気分にもよりますよね。その揺らぎもAIに反映されていて面白いんです。

 ロープレってどうしても嫌がる人が多いですが、このAIロープレによってゲーム感覚で楽しく取り組める人が増えたそうです。これは新しい使い方ですよね。

澤(圓窓) 最近、英会話の先生としてAIが良いとよく言われていますが、理由は生徒が「恥ずかしくないから」。ロープレも、先輩社員相手に緊張したり、上司に不出来な姿を見せることになったりするから嫌なんですよね。その心理的負担がAIによって解消されると思います。

 あと、謝罪のメールを全部AIに書いてもらってるという事例を聞いて、「AI活用の真髄だな」と思いました。謝罪文を書くときは出来事を思い出す必要があって、それでまた嫌な気分になりますよね(笑)。AIは嫌な気分にならないので、代わりにやってもらう。精神衛生上めっちゃ良いですよ。

株式会社圓窓 代表取締役 澤円さん
代表取締役株式会社圓窓の代表取締役。元・日本マイクロソフト株式会社業務執行役員。 マイクロソフトテクノロジーセンターのセンター長を2020年8月まで務めた。 DXやビジネスパーソンの生産性向上、サイバーセキュリティや組織マネジメントなど 幅広い領域のアドバイザーやコンサルティングなどを行っている。 複数の会社の顧問や大学教員の肩書を持ち、「複業」のロールモデルとしても情報発信している。 日立製作所 Lumada Innovation Evangelist。 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 専任教員。

今井 社内のコミュニケーションでは、日々一緒に仕事をしていると「それぐらいわかるでしょ」みたいな一文を加えたくなりますが、AIに考えさせれば自分の余計な気持ちを入れないで済みますよね。

生成AI時代に営業組織・リーダーはどう変わるべきか?

──この生成AI時代、営業の現場はどのように変化していると見ていますか?

澤 「人間の本質は変わっていないから、セールスのありようも変わらないはずだ」という意見がありますが、やはり大きく変わっているんですよ。2013年から2023年までで、人が持っているデータ量は60倍にも増えたというレポートもあります

 ちょっとSNSを調べたら余計な情報までたくさん出てくる。初めての営業先でも、「相手も自分も何も知らない」状態からスタートすることはほとんどないわけです。お客様も、「これから来る営業はどんな人か」と事前に調べているかも知れません。

今井 私も商談の際には、AIを使って調べますね。たとえば澤さんが顧客なら、事前にChatGPTに「澤さんが大事にしていることやメディアで話していることを挙げてください」と尋ねます。すると、どのメディアで何を喋っていたかURLまで出力してくれる。情報へのアクセスもしやすくなっている時代だと思います。

株式会社セレブリックス セールスカンパニー 執行役員 カンパニーCMO

セレブリックス営業総合研究所 所長 兼 セールスエバンジェリスト 今井晶也さん
セールスエバンジェリストとして、法人営業に関する研究、執筆、基調講演等を全国で行う。2021年8月には『Sales is 科学的に「成果をコントロールする」営業術』を扶桑社より出版。営業本のベストセラーとして累計出版数が5万部を超える。2022年7月には単著2作目として 『お客様が教えてくれた「されたい」営業』を出版。2024年4月25日に待望の3作目として、『The Intelligent Sales AIを活用した最速・最良でクリエイティブな営業プロセス』を翔泳社から発売。生成AIと営業に特化した国内最初の書籍として注目を集める。現在は執行役員 CMOと新規事業開発の責任者を兼任。管掌するプロダクトとして営業コミュニティのYEALE、営業専門の人材紹介のSQiL CareerAgent、日本最大級の営業エンターテイメントJapanSalesCollectionなどがある。Everything DiSC®️の認定トレーナーであり、専門は営業、プレゼンテーション、コミュニケーションスタイルと多岐にわたる。2023年9月より一般社団法人生成AI活用普及協会の協議員に就任。

──そういった変化が前提にあったうえで、営業組織のリーダーにはどんな変化が求められていますか。

今井 まずリーダーが勉強しなければいけないと思います。時代が変わり、購買者の環境、営業の環境が変わった。今求められる営業のあり方やコミュニケーションをリーダー自身が勉強しないと、状況に応じた正しいマネジメントはできないですよね。「新しいことは若い人にやらせよう」ではダメなんです

 実は、当社でも生成AIが話題になり始めたころ、生成AIを活用したビジネスに取り組むべく、誰かが研究しようという話が出ました。そこで僕が手を挙げたところ、「今井がやらなくても良い、若いメンバーにやらせたい」という声が出ました。しかし、これからのビジネスを大きく変える最先端のAIについて語れない人間が経営やマネジメントをすることに何の意味があるのか、と思ったんです。

 僕は、AIを活用する前に、まずは「どれだけ過去の話をするのに時間を使っているか」を棚卸しするのが効果的だと考えます。たとえば、営業報告のミーティングは無駄の極致。進捗は、ひとめ見ればわかる仕組みにしておけば良いはずです。そのうえでAIに分析をさせて「この案件は確度何%」といったデータを見ると良いでしょう。

 会議の場では「未来の話」をするのが重要です。未来をどうやって面白くするか。綺麗ごとに聞こえるかもしれませんが、この先の行動をどうするかは自分(人間)にしか決められないんです。 いきなりAIを使おうとするのではなくて、過去の話をしている「無駄」を棚卸しする。そのうえでAIに任せる部分を決めるというプロセスが必要です。

 それから、今井さんの書籍に書いてある「AI活用における美意識」──この考え方はとても大事だと思いますね 。将棋のように「こうなったら勝ち」というルールがあるものは、打ち手の良し悪しが計算できますが、営業の場合はそう明確ではありません。美意識やクリエイティビティが大事になるわけです。

──美意識にまつわる話で言えば、データとAIでできることをそのまま顧客に話すだけでは、ネガティブな気持ちにさせてしまうこともありますよね。

今井 そうですね。自分たちがAIを使うのは勝手ですが、お客様の組織はそもそもAIを使って良いルールなのか。その状況も把握しないまま「御社の情報をAIに読み込ませまして」と何気なく発言したとしたらそれは事故ですよね。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダカコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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