富士ゼロックスで叩き込まれた営業の基礎
大山(BNGパートナーズ) インタビュアーを務めます、BNGパートナーズの大山です。以前執行役員を務めていた企業では、営業組織が50名程度の時代から数千名規模まで成長するという経験を得ました。当時は、セールス・イネーブルメントの概念も抽象的であり、営業組織の育成にはとても苦労しておりました。
そのころから営業トレーニングの考え方もかなり変化していますよね。営業だけに頼るのではなく、「売りやすい商材」「環境」をつくるような考え方も浸透してきています。
セーフィーさんは、2021年9月に東証マザーズに上場され、順調かつ狙いどおりに売上を伸ばしている印象があります。とはいえ、そんなに容易な道のりではなかったでしょうから、今日は成果の裏側にあるパートナー戦略やセールス・イネーブルメントについてお話を聞いていきたいです。まずは事業と、鈴木さんのバックグラウンドを教えてください。
鈴木(セーフィー) 当社は「映像から未来をつくる」というビジョンを掲げ、クラウド型の映像プラットフォームを提供しています。ARRは97億円、課金台数も24.5万台まで成長し、市場のシェアを54.1%まで獲得しています。最終的にはグローバル市場を含めた、4億台の販売を目標に掲げていますが、まずは国内の約2,800万台に向け、チャレンジをしています。
鈴木 私は富士ゼロックスという会社で19年ほど法人営業をしてきました。担当領域はSMBからエンタープライズまで幅広く、商材も「オフィス領域」を中心にハードから無形のソフトウェアまで。常に、営業としていかに成果を上げるかを大切にしながら働いていました。
大山 富士ゼロックス出身の営業の方って、皆さんめちゃくちゃロジカルですよね。
鈴木 育成がしっかりしている会社なんですよ。入社後半年ほど研修があり、泊まり込みの研修もありましたし、社会人マナーはもちろんロープレ、プロダクト理解まで、営業としての基本が徹底されましたね。それがないとお客様と向き合うことができませんから。
大山 実は、営業として私がいちばん「天狗」になっていた時代の上司が富士ゼロックス出身の方でした。たくさんの指摘を受けて当時は嫌だったのですが(笑)、今思えば本当に感謝していますね。
鈴木さんがセーフィーにジョインされたのはいつですか。
鈴木 2023年11月です。前職のAI insideに在籍していたころから、良いAIをつくるためには現場データの蓄積が重要になることを身をもって実感していました。
映像には画像から音声、タイムライン情報までさまざまなデータが内包されています。AI領域における映像の可能性を感じていました。セーフィーのプロダクトは現場で利用されますから、最前線のデータが収集できます。加えて、パートナービジネスについても、自分の経験を活かすことができそうだと感じ、ジョインしました。
大山 ここから本題のテーマに入っていければと思います。まずは、セールス・イネーブルメントに取り組んだ背景から教えてください。
鈴木 セーフィーのビジネスが拡大するとともに、社員もかなり人数が増えてきています。上場もしていますし、より成長するためには生産性を上げる必要があり、その課題感から取り組みを始めました。