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2024年11月20日(水)15:00~17:10

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インサイドセールスのKPI項目と分析手順、成功ポイントも解説


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「インサイドセールスがうまく機能しているかわからない」「担当者のアクションの質と量を把握したい」このようなお悩みをお持ちの方は、インサイドセールスの適切なKPIを設定・分析して成果を高めることをおすすめします。本記事では、インサイドセールスのKPI設定方法や分析方法、インサイドセールスの成功のポイントなどを解説します。KPI指標の具体例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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インサイドセールスのKPI設定の重要性

 KPI(Key Performance Indicator)とは「重要業績評価指標」と訳され、ビジネスの最終的な目標であるKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を果たすために達成すべき中間目標です。たとえばKGIが「今期の売上〇億円」だった場合、KPIには「毎月の商談数」や「受注率」などが設定されます。

 インサイドセールスでもKPIを設定し、確実に目標達成に進めているか評価・判断することが重要です。

 株式会社IDEATECHの調査では、インサイドセールスの失敗要因として「KPIの設定が間違っていたから」と回答した人の割合が27%にものぼっています。適切なKPI設定がインサイドセールスをうまく機能させるポイントであると言えるでしょう。

<関連記事:約8割が「インサイドセールスでの失敗経験」あり/IDEATECH調査

 それでは、なぜインサイドセールスにとってKPI設定が重要なのでしょうか。その理由を3つ解説します。

目的の明確化

 KPIを設定すると「誰(組織・営業担当者)が、いつまでに、何を、どのくらいやらなければならない」という目的が明確になります。組織としての方向性を全体共有できるため、全員が共通認識を持って同じ方向へと進みやすくなるでしょう。

現状把握と改善点の発見

 インサイドセールスにおいてKPIを設定して定量的に測定していくことにより、以下のようなことが可視化されます。

  • 担当者は必要なアクション量を行っているか
  • 担当者のヒアリングや情報発信の質が高いか
  • 現状のトークスクリプトやメルマガの内容は効果があるか

 KPIは測定可能な指標を設定するため、目標達成への進捗状況を数値で追っていくことが可能になり、正確に現状を把握できます。もし目標値と実績値にギャップが生じていた場合にも、数値で分析できるためギャップが生じている要因を発見しやすくなり、早急なリカバリーが可能です。

モチベーションの向上

 明確な指標であるKPIを設定することで、インサイドセールスメンバーは自分がやるべきことを把握でき、チームとして目指すべき方向性も共有できます。そのため、結束力が高まりチーム全体のモチベーション向上にもつながるでしょう。

 また、「KPIを達成できたかどうか」という明確な評価指標ができることで公平な評価につながるため、メンバーの納得感も高まります。

 インサイドセールスがKPIとして設定する指標は多岐にわたるため、どの指標をKPIとして設定すべきか悩んでいる方も多いかもしれません。インサイドセールスでよく活用されているのは、次の5つのKPI指標です。

  • アクション数・アクション率
  • 商談創出数・率
  • 有効商談数・率
  • 受注件数・率
  • 受注金額

 順に詳しく紹介します。

アクション数・アクション率

 担当者が十分な量と質のアクションを行っているのか把握するために、それぞれのアクション数とアクション率をKPIとして設定します。具体的には、以下のような指標があります。

  • 架電数
  • 担当者に電話がつながった数・率
  • メール送信数
  • メール開封数・率
  • チャット対応数

 たとえば、電話をメインにしたインサイドセールスの場合、1日もしくは1時間のうちに十分な数の電話をかけているかを把握するために「架電数」を設定します。さらに架電だけでなく、受付で断られずに担当者につながった電話は何件か、架電数から見て何%が担当者につながったのかを可視化します。もし担当者につながる件数や割合が低いときには、トークスクリプトをブラッシュアップしたり、架電先リストを見直したりする必要があるでしょう。

商談創出数・率

 電話やメールなどを活用してリードナーチャリングを行った結果、どのくらいのアポイントを獲得して商談を作り出せたかを把握するために「商談創出数」をKPIとして設定します。併せて、アプローチをした件数のうちアポイントを獲得できた件数はどのくらいかを把握するためには「商談創出率」を用います。

 これらの数値が低い場合は、トークスクリプトやターゲティングがうまくいっていないかもしれません。また、十分にナーチャリングできていない段階で商談の打診をしている可能性もあるため、リードナーチャリングやリードクオリフィケーションの見直しも必要です。

有効商談数・率

 アポイントを獲得して商談を創出するだけでなく、確度の高い商談が実際に実施されたかという「有効商談」の数や割合もインサイドセールスにとって重要なKPI指標です。

 リードの購買意欲が低いと、商談の機会を設定しても直前でキャンセルされることもあります。また、フィールドセールスがせっかく訪問してもすぐに断られることもあるでしょう。有効だった商談数や、商談数に対する有効商談数の割合をKPIとして設定し、リードナーチャリングやリードクオリフィケーションなどの成果を分析したり、インサイドセールスが創出した商談の質を評価したりできます。

受注件数・率

 受注件数や受注率も、インサイドセールスのKPIとして用いられることの多い指標です。インサイドセールスが適切に信頼関係を築いて購買意欲を高めていれば、最終的な受注件数や受注率にも反映されます。ただし、フィールドセールスのスキルや努力に左右される部分も大きいため、比率や基準を考慮する必要があるでしょう。

 また、一般的なインサイドセールスはマーケティングとフィールドセールスの橋渡しを担当しますが、オンラインで商談を進めて受注までインサイドセールスで完結している企業もあります。そうした企業にとっても、インサイドセールスの受注件数・率は営業活動の成果を測る指標として有効です。

受注金額

 受注金額にもインサイドセールスの頑張りが影響するため、KPI指標として設定されることが珍しくありません。

 インサイドセールスがリードの課題やニーズを把握できていると、フィールドセールスが最適な提案ができるため、大口の契約も受注しやすくなるでしょう。また、商談前にインサイドセールスがハイグレードプランや関連商品などの魅力をアピールできれば、フィールドセールスの商談時にアップセル・クロスセルが実現し受注金額が高くなります。

 受注金額もフィールドセールスによって左右される部分ですが、インサイドセールスの質を評価するためにも設定しておきたい指標です。

インサイドセールスのKPI設定手順

 インサイドセールスでは、複数のKPI指標を組み合わせて施策の成果を検証する必要があります。しかし、実際にどのようにKPI指標を設定すべきかわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで、KPIを設定する手順を解説していきます。

1.マーケティングとフィールドセールスとすり合わせを行う

 インサイドセールスは、マーケティングからリードを引き継いでナーチャリングやクオリフィケーションを行い、フィールドセールスに引き継ぐ役割の部門です。他部門と連携し合う必要があるため、KPI指標も関連することが多くあります。

 たとえば、マーケティングが獲得したリードの数により、インサイドセールスのアクション数や商談創出数なども変わります。また、フィールドセールスのスキルやフォローによって、受注率や受注金額は異なるでしょう。

 そのため、一例として以下のようなことをすり合わせておく必要があります。

  • マーケティングが獲得するリード数
  • マーケティングからインサイドセールスへ、リードを引き継ぐタイミング
  • スコアリングでリードの点数が何点以上ならアポイントを獲得できるか

 こうした細やかなすり合わせをしておくと適切なKPIを設定でき、最終的な目標であるKGI達成に近づくのです。

2.KGIから逆算してKPI指標と数値を決める

 KPIを設定する際には、KGIを達成するためにどのような指標を達成する必要があるか、逆算して考えましょう。

 たとえばKGIが「今期の売上金額〇億円」という場合、KPI指標としては「毎月の受注率」や「毎月の受注金額」などが必要となります。さらに、その受注率や受注金額を達成するための「毎月のアクション数」や「商談創出数」などもKPI指標として挙げられるでしょう。

 自社のKGI達成に必要な指標をKPIとして設定したら、次は具体的な目標値を設定します。目標値は、担当者のスキルや過去の実績などを考慮し、達成可能な数値を設定しましょう。達成不可能な数値を設定してしまうと正確に成果を検証できないだけでなく、担当者のモチベーションが下がりかねません。

 このように、自社のビジネスに最適なKPI指標と目標値を設定することで、KGIを達成できます。

3.目標から具体的な行動指標を決める

 KPIを設定したら、メンバー一人ひとりの具体的な行動指標を決めます。

 たとえば、KPIとして「毎月の架電数」を設定したら、次は「一人ひとりの架電数」を決めていきましょう。経験年数やスキルに応じて、実現可能かつ少しチャレンジングな目標を設定します。

 最終目標となるKGIや中間目標なども見える化できる「KPIツリー」の作成も有効です。営業担当者がどのKPIに対してアクションをしているのか、自身の位置づけや重要性なども理解しやすくなります。

インサイドセールスのKPI分析方法

 前章ではKPIの設定方法を紹介しましたが、次は分析方法を紹介します。適切なKPIを設定したら分析を行い、目標値と現状のギャップを把握することが重要です。

MAツールやSFAなどデータを蓄積できるツールを活用する

 Excelなどの表計算ソフトでKPIの分析を行う企業もありますが、転記ミスや計算ミスなどを引き起こすリスクがあります。また、データ量が膨大になるとファイルが重くなり、操作性が悪くなる点も不便です。

 MAツールやSFAなどのツールを活用し、KPIの分析を効率化しましょう。ツールに日々データを蓄積していくだけで、自動でデータの分析を行います。また、マーケティング部門やフィールドセールス部門と、普段顔を合わせてコミュニケーションが取れない場合でも、ツール内のデータを確認するだけで現状を把握できます。

 なお、MAツールとは「MA=Marketing Automation」の略称で、マーケティング活動を効率化するためのツールです。メール配信機能やスコアリング機能などが搭載されているツールもあり、インサイドセールスの業務効率化につながります。

 一方のSFAとは「SFA=Sales Force Automation」の略称です。顧客情報のみならず、案件情報や営業アクション情報など、営業活動に関わるあらゆるデータを一元管理できます。

 これらのツールはインサイドセールスの業務に役立ち、KPIの分析を促進します。お互いに連携できるツールもあり、データの自動同期や一元管理を実現すれば業務効率化につながるでしょう。

 こちらの記事ではインサイドセールスで活用できるツールを紹介しています。ぜひ参考にしてください。

<関連記事:【種類別】インサイドセールスツール23選!導入メリットから選び方まで

定期的に達成率をモニタリングする

 KPIは、定期的に実績値と目標値のギャップを分析し、達成率を見ていく必要があります。

 たとえば「毎月の商談創出数50件」というKPIを設定している際、月末に実績値を算出してみると30件で、目標値と大きくかけ離れてしまっているというケースも珍しくありません。しかし「2日おき」や「毎週金曜日」など定期的に達成率をモニタリングする機会を設けることで、KPI達成が難しいタイミングを見逃すことなく、適切な対策を取ってリカバリーすることができます。

目標達成をはばむ要因を探る

 もしKPIを達成できなかったときは、その要因を探りましょう。要因を見つけられれば、対策を講じることが可能です。

 たとえば「人手不足で十分なアプローチができなかった」という要因があれば、人材の採用を検討すべきです。目標達成が難しい要因に「担当者のスキル不足でアポイントを獲得できなかった」という理由があれば、インサイドセールスの人材育成を行う必要があるでしょう。

 また、そもそもKPIの目標値が高すぎたり、自社の業務フローに合っていないKPIを設定していたりして、成果につながっていないケースもあります。

 こうした実情を把握して最適なネクストアクションを立案するために、目標達成をはばんでいる要因を分析することが重要です。

KPI達成しインサイドセールスを成功するために

 適切なKPIを設定し確実に達成することは、インサイドセールスを成功させるための重要な要因です。成功のカギとなるのはどのようなポイントなのか見ていきましょう。

インサイドセールス事業の成長段階にあわせたKPI設定を行う

 インサイドセールス事業は、スモールスタートして徐々にスケールしていくのが一般的です。インサイドセールス組織の成長段階によって適切なKPI指標が異なるため、フェーズごとに最適なKPI設定を行いましょう。

 最初はノウハウもデータも溜まっていない状態のため、まずはアクション数や商談獲得数など「量」を確保していき、ノウハウやデータを蓄積していきます。

 十分なデータが溜まったら、データを分析して質の高い商談を創出していきます。最初はとにかく量を重視していましたが、次は有効商談数・率といった指標をKPIとして設定して、質の高さにも重点を置きましょう。

 質の高い商談を創出できるようになったら、受注数・率や受注金額などをKPIとして設定します。インサイドセールスの施策や業務がどれだけ受注に貢献できているか評価し、さらなる事業のスケールを狙います。

目標と実績が乖離しているタイミングでKPIの見直しを

 KPIは定期的に数値をモニタリングして、目標値と実績値に乖離が生じていないか確認していく必要があります。

 乖離がある場合、リカバリーできる範囲内なら早急に対策を講じるべきですが、乖離が大きすぎてリカバリーが困難な場合もあるでしょう。その際は、柔軟に軌道修正して、KPIを見直すのも一案です。

 大きな乖離が生じている場合は、「そもそも現実的ではない目標を設定している」「修復困難なトラブルが起きている」などの要因があります。状況に応じてKPIを見直し、軌道修正しましょう。

 下記の記事では、インサイドセールスを成功に導くためのコツをわかりやすく紹介しています。KPI設定以外の具体的な方法も紹介しているので参考にしてみてください。

<関連記事:インサイドセールスのコツ【戦略・実践・運用】求められる力も紹介

まとめ

 インサイドセールスは、企業のKGIを達成するためにも重要な役割を担っています。そのため適切なKPIを設定し、継続的に分析して改善点を見つけていくことで、成果を高めていくことが可能です。アクション数・率や商談創出数・率、受注件数・率などさまざまなKPIがあるため、自社のKGIや事業規模などに応じて適切なKPIを設定しましょう。

 KPIを達成してインサイドセールスを成功させるには、インサイドセールス組織の成長段階に合わせたKPI設定と、柔軟なKPIの見直しがポイントです。そのためにも、定期的にKPIをモニタリングして現状を把握し、問題点をすぐに発見していくことが重要であると言えます。まずは自社のフェーズに合わせ、適切なKPI設定をすることから始めてみましょう。

 インサイドセールスを成功している企業事例と成功ポイントについて紹介している下記の記事もあわせてお役立てください。

<関連記事:【業界別】インサイドセールス成功事例10選!成功ポイントも紹介

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