【ケース別】アポイント獲得率・承諾率はどの程度か
「なかなかアポイントを獲得できないが、一般的な獲得率はどのくらいだろう」と気になる人も多いことでしょう。そこで、インサイドセールスがアポイントを獲得できるおおよその確率をケース別に見ていきます。
接点のない企業へ新規架電する場合
新規獲得の方法として、自社商品・サービスのニーズがありそうな企業を調べて架電する、アウトバウンド手法が取られる場合があります。
今まで接点のない企業へアプローチするため、相手が自社商品・サービスについて認知していないケースも珍しくありません。そのため、受付を突破できなかったり担当者と話せてもすぐに断られたりするなど、電話口で冷たくされるときもあり、「コールドコール」と呼ばれることもあります。
このケースのアポイント獲得率は1%未満が一般的で、非常に低い数値です。アポイントを承諾してもらえる難易度が高いため、受付を突破するスキルと、担当者に興味を持ってもらえるようにトークできるスキルが求められます。
メールにリアクションがあったリードに架電する場合
メルマガを購読しているリードや、以前に問い合わせをしてくれたリードに対してメールを送り、本文に記載しているURLやCTAボタンなどをクリックしたリードに対して架電するケースもあります。
この場合、リードがメールを開封してクリックしているので、ある程度の関心を抱いていると判断できるでしょう。架電したときの反応がよいリードも少なくないため、5%前後はアポイントを承諾してもらえると言われています。
名刺交換したリードに架電する場合
展示会やセミナーなどで名刺交換したリードに対して架電を行う場合のアポイント獲得率は、10%程度です。リードは商品・サービスについて認知している上に、顔を合わせて話した経験があり関係性が構築できている状態のため、アポイントを比較的獲得しやすいと言えます。
ただし、名刺交換から時間が経っていると忘れられてしまうこともあり、スピーディなアプローチが必要です。
メールでアプローチする場合
メールでのアプローチは、大量のリードに対して一斉に送信できるため、インサイドセールスの人員が少なくても効率的にアプローチできる手法です。属性や課題・ニーズなどでセグメントすると、より効果を高められるでしょう。
メールによるアポイントの打診を承諾してくれる確率は、一桁台だと言われています。営業メールだと判断されると開封されないため、興味を持ってもらえるようなタイトルにするのがひとつのポイントです。
また、相手に返信の手間をかけさせないよう、アポイント調整ツールのURLを載せたり、あらかじめアポイント候補の日時を記載したりするなど、すぐに返信できるよう配慮しておくとよいでしょう。
問い合わせフォームからアプローチする場合
BtoBのインサイドセールスでは、ターゲットとする企業の問い合わせフォームからアプローチするケースも見受けられます。
問い合わせフォームからの連絡は、目を通す企業も多いため、開封率はそれほど低くありません。ただし、フォームを顧客向けに開放している企業は営業のアプローチに対して不快に感じるケースもあり、送信する文面には注意が必要です。顧客のふりをしてアポイントを取ろうとしたり、営業であることを隠して接点を持とうとしたりすることは、後のち大きなトラブルに発展するリスクがあるため避けましょう。
インサイドセールスの架電に効果的な曜日・時間帯は?

「とにかく毎日架電している」という人もいれば、「空き時間しか架電していない」という人もいるでしょう。効率的にアポイントを承諾してもらえるようにするには、効果的な曜日や時間帯を把握しておくことです。
IP電話「MiiTel」を提供する株式会社RevCommによる調査では、アポイントを取りやすい曜日は「水曜日」というデータが出ています。そして、アポイントを獲得しやすい時間帯は「13時台」というデータも公表されています。
さらに、アポイントを取りやすい曜日と時間帯をかけ合わせたデータでは、もっとも効果的なのは「月曜日の13時台」、次いで「金曜日の13時台」、そして「水曜日の10時台」であると言います。
また、参考までにアメリカのCRM「Salesmate」はさまざまな業種の80社を対象にした調査の結果も紹介しています。結果によると、もっとも効果的な曜日は「水曜日」でした。時間帯に関しては「16時~17時台」となっており、日本とは多少の差異が見られています。
業種や担当者の部署などにより効果的な曜日・時間帯は異なりますが、手当たり次第に架電していて成果を感じられない人や、業務が忙しくてピンポイントの時間しか架電業務ができない人などは、参考にしてみる価値はあるでしょう。また、自分でも架電の際にデータを取ってみて、アポイント承諾率が曜日・時間帯によって異なるか検証してみるのもおすすめです。
アポイントの承諾率を上げるフレーズ集
インサイドセールスでは、アポイントの承諾率を上げるのに効果的なフレーズがいくつかあります。本章では電話とメールに分け、効果的なフレーズと、そのフレーズを活用した例文を紹介します。
承諾率が高いセールス担当者が活用しているフレーズを参考に、トークスクリプトやメールテンプレートを作成してみてください。
電話営業編
電話営業の場合は、相手が忙しい時間を割いて電話に対応してくれていることに感謝し、ていねいな対応を心がけましょう。ただし、長々と話していると余計に時間を使ってしまうことになるため、効果的なフレーズを活用して相手の心をつかむ工夫が必要です。
フレーズ集
インサイドセールスの電話営業では「受付突破」「取次」「ヒアリング・提案」「アポイントの打診」のフェーズに分けることができます。それぞれのフェーズで活用できるフレーズを紹介します。
【受付突破】
架電した際、担当者へ取り次いでもらうためには受付を突破しなければなりません。どのような用件で電話したのか、簡潔かつ明確に伝えましょう。
- ~~に関する資料請求をしていただいたのですが、○○部門の○○様はいらっしゃいますか?
- ~~の資料をダウンロードしていただいたお礼とご案内でお電話させていただきました。
- ○○業務の効率化に関するご案内をさせていただきたいのですが、ご担当の方はいらっしゃいますか?
【取次】
担当者に取り次いでもらえたら、会話をしてくれるお礼を述べたあと、電話にかかる時間の目安を伝えると親切です。
- ~~に関するご案内をさせていただきたいのですが、5分ほどよろしいでしょうか?
- 今回ダウンロードしていただいた資料について、御社の状況をお聞かせいただきたいのですが、3つほど質問させていただいてもよろしいでしょうか?
【ヒアリング・提案】
相手の現状や課題をヒアリングした上で、自社商品・サービスを提案します。ヒアリング内容はYES・NOで答えられる質問ではなく、具体的に話してもらえるよう投げかけましょう。
- 今回~~に関する資料をダウンロードしていただきましたが、御社では~~に関してどのような課題をお持ちでしょうか?
- 現在ご利用中のツールで、どのような効果を感じていますか?逆に不便な点はありますか?
- 当社の○○(サービス名)は、御社の~~といった課題解決のお役に立てるかと思います。
【アポイントの打診】
アポイントを打診する際には、具体的な日時を提示する方法と、相手に決めてもらう方法があります。
- ぜひデモ画面を使って詳しくご説明させていただきたいのですが、○月○日○時と○月○日○時、○月○日○時の中でご都合いかがでしょうか?
- 弊社の営業担当者から直接詳しいお話をさせていただきたいのですが、ご都合のよろしい日時を教えていただけないでしょうか?
トークスクリプトの例
突然のお電話、失礼いたします。株式会社□□の□□と申します。
<取次後>
お忙しい中、失礼いたします。先日~~に関する資料を請求していただいた、株式会社□□の□□と申します。資料に関してのご案内やご質問をさせていただきたいのですが、5分ほどよろしいでしょうか?
今回~~に関する資料をダウンロードしていただきましたが、資料請求の背景を教えていただけないでしょうか?
~~といった課題があるのですね。現在、その課題を解決するためにどのような施策を行っているのでしょうか?
当社の「サービス名」は~~といった機能がありますので、御社の課題解決をご支援できるかと思います。ぜひ一度詳しいお話をさせていただきたいのですが、○月○日○時と○月○日○時のどちらかでご都合いかがでしょうか?
メール営業編

メール営業の際には、文章だけで「開封」と「返信」というアクションを促す必要があるため、電話営業よりもアポイント承諾のハードルが高いと言えます。まずは開封してもらえるよう、特別感を演出した件名を付けて開封を促しましょう。そして、文章だけでなくCTAボタンやURLなども入れながら、アクションを促すよう工夫します。
フレーズ集
インサイドセールスのメール営業に効果的なフレーズは「件名」「つかみ」「アポイントの打診」で分けて見ていきましょう。
【件名】
件名が長すぎると用件が伝わりにくいだけでなく、メールボックスの一覧画面で全文が表示されないという事態にもつながります。そこで、簡潔かつ具体的にまとめ、なるべく短めにおさめるようにしましょう。
- 【お礼】~~に関する資料請求の件(株式会社□□)
- 【特別なご案内】「サービス名」無料体験キャンペーン実施中
- ○○業務の効率化に関するご案内(株式会社□□)
【つかみ】
メールの冒頭でどのような目的のメールなのか明確にし、用件をしっかりと伝えます。
- 先日は~~に関する資料をダウンロードしていただき、ありがとうございました。業務効率化のポイントはご参考になりましたでしょうか。
- ~~の資料をご請求いただき、ありがとうございます。添付にてお送りさせていただきますので、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
【アポイントの打診】
アポイントを打診するフレーズは、「メールでは伝えきれない」「実際に説明したい」という旨を伝えます。また、具体的な日時を記載しておくと、相手のアクションを促しやすいでしょう。
- デモ画面を使ってご説明させていただけないでしょうか。
- 貴社の状況もお聞きしながら、資料の内容をご説明させていただきたく存じます。
- 以下の日時が訪問可能ですが、ご都合はいかがでしょうか。
テンプレートの例
<件名>「サービス名」資料ご請求のお礼
<本文>
株式会社○○
○○様
お世話になっております。
株式会社□□の□□と申します。
この度は、弊社の「サービス名」に関する資料をご請求いただきありがとうございます。ご請求いただいた資料はメールに添付させていただきましたので、ご確認いただきますようお願い申し上げます。
弊社の「サービス名」は、以下のような特徴がございます。
特徴1:~~
特徴2:~~
特徴3:~~
貴社と同じ○○業界での導入事例もございますので、ぜひ一度貴社のご状況をうかがいながら詳しいご説明をさせていただけないでしょうか。
今月であれば以下の日時が訪問可能ですが、ご都合はいかがでしょうか。
・○月○日 ○時
・○月○日 ○時
・○月○日 ○時
上記以外の日程でも調整可能ですので、遠慮なくお申し付けください。
ご多忙のところ恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
(署名)
アポイントの承諾率を上げるポイント
インサイドセールスのアポ承諾率を上げたいときの7つのポイントをまとめました。
トークスクリプトやテンプレートを用意して効率的にアプローチする
インサイドセールスで成果を出していくには、トークスクリプトやメールテンプレートなどの「型」を用意しておきましょう。1件ごとに時間をかけていると多くのリードにアプローチできないため、トークスクリプトやテンプレートをつくっておくと膨大なリードにも効率的にアプローチできます。スキルや経験が乏しい新人でも、トークスクリプトやテンプレートが整っていれば一定の成果が期待できるでしょう。
ただし、トークスクリプトやテンプレートは定期的に見直しが必要です。効果的なフレーズを盛り込んでブラッシュアップしていくことで、精度が高まりアポ承諾率も向上します。
「もっと話を聞いてみたい」と思わせる
電話やメールですべての用件を伝えてしまうと、相手はそれだけで満足してしまいます。「もっと話を聞いてみたい」と思わせることでアポイントにつながるため、1件ごとのアプローチに時間をかけすぎず、「改めて詳しい話をさせてください」という旨でアポイントを打診してみましょう。
日時を絞って提示する
アポイントの日時は、なるべく具体的に指定すると相手が回答しやすくなります。たとえば「いつご都合よろしいでしょうか?」と問いかけても「確認してまた連絡します」と言われてしまってはそれで終わりになりかねません。「○月○日の○時はいかがでしょうか?」「午前と午後でしたら、どちらが時間を取りやすいでしょうか?」など、具体的に提示すると相手もすぐに回答しやすいためアポイントを獲得できる可能性が高まります。
【電話】適切にヒアリングする
電話営業の場合は、ヒアリングが重要です。相手の状況や課題をなるべく詳しくヒアリングできれば、その内容をもとに自社ができる解決策を具体的に提案でき、商談化へとつなげやすくなります。ヒアリングの際には「BANTCH情報」や「SPIN話法」などのフレームワークの活用をおすすめします。
【電話】アポイントを取るきっかけをつくる
「詳しい話をさせてほしい」と言うだけではなかなかアポイントを獲得できないという場合は、別の切り口で提案してみるのも一案です。たとえば、以下のような方法があります。
- 資料を渡したい
- デモ画面を見てほしい
- いただいた質問を社内で検討して、後日回答したい
具体的なきっかけがあると、相手も「それなら会ってみようかな」と思ってくれるでしょう。
【メール】返信しやすいような文面にする
メールはアポイント承諾率が低い傾向にありますが、返信しやすいような文面にすることで成果が出る確率が高まります。たとえば、日程調整ツールのURLを入れたり、返信用のテンプレートを挿入したりするなど、相手が手間なくアクションを取れるように工夫しましょう。
業界別のインサイドセールスアプローチ戦略

最後に、業界別にインサイドセールスのアプローチ戦略の例を紹介します。
IT業界
IT業界のインサイドセールスの場合、相手への詳しい説明や商談、クロージングまで実施するケースも見られます。なぜなら、オンライン会議システムを使えば画面共有でき、ITシステムやクラウドサービスなどはデモ画面を見せたり操作したりしながら説明しやすいためです。
そのため、初回アプローチの際に相手の関心度が高ければ、そのまま画面を共有して詳しい話を進めるのもひとつの手です。相手の関心度が下がらないうちにスピーディに話を進められるため、受注につながりやすくなるでしょう。
不動産業界
不動産業界のインサイドセールスでは、電話やメールだけでなくチャットも活用し、物件情報や契約に関する質問に答えながら相手の不安を取り除いていきます。チャットなら、希望する条件を聞きながら、条件に当てはまる物件情報をすぐに回答することも可能です。また、オンライン会議システムを活用し、オンライン内見をするという方法もあります。
医療業界
医療機器メーカーや製薬会社のインサイドセールスでは、新しい機器や薬について電話やオンライン会議システムで説明したり、映像を共有しながら機器の使い方を説明したりしています。オンラインでの説明では伝わりにくいときには「実際に訪問して説明したい」と提案できるため、アポイントを打診しやすいのもメリットです。
製造業
製造業は価格競争になりやすいですが、インサイドセールスを取り入れることで相手の課題に寄り添った提案ができるようになります。インサイドセールスは非対面でやり取りをするため、十分な情報収集やヒアリングをしなければ成果につながりません。そのため、インサイドセールスで相手との信頼関係を深められれば、競合と差別化でき価格競争に巻き込まれることがないでしょう。
まとめ
インサイドセールスのアポイント承諾率を上げるには、効果的なフレーズを取り入れたトークスクリプトやメールテンプレートによる効率的なアプローチがポイントです。もっと話を聞いてみたいと思わせるテクニックや、相手のアクションを促す導線など、ちょっとした工夫を盛り込んでいくとアポイント承諾率が向上していくでしょう。
本記事のフレーズ集やトークスクリプト・テンプレートは、すぐに実践できるものばかりです。今回紹介した内容を参考に実践を積み重ねていき、成功ポイントや失敗要因を分析して自社にとって最適なトークスクリプトやテンプレートにブラッシュアップしていきましょう。