無駄の少ない、質の良い会議とは
━━このたびはSmartMeeting代表への就任おめでとうございます。
ありがとうございます。2021年の夏頃にSmartHRの創業者である宮田が「SmartMeeting」のプロダクトのリニューアルに取り組んでおり、それらがひと段落しつつあった同年12月、私にバトンが渡りました。
日本では「ミーティングテック」や「ミーティングマネジメント」という言葉が十分に浸透していません。どんなに良いプロダクトでも、まずはその価値が周知され、理解してもらえなければ世に貢献することは難しいため、市場を開拓・開発しながら、プロダクトを開発する必要があります。そうした背景の中で、「ミーティングテック」市場の形成や、自社サービスの導入検討に私のマーケティング・コミュニケーションデザイン分野における経験が活きると考えています。
━━御社のミッションである「会議のスタンダードをつくる」を実現するうえで、どのようなアプローチを実践されていくのでしょうか。
ひとつめは、誰しもが効率よく生産性の高い会議ができるような業務プロセスを提供することです。私を含む多くのビジネスパーソンが「会議には無駄が多い」と大なり小なり感じているように思います。それにも関わらず、ほかの業務改善と比較すると会議の効率化の優先順位はそう高くない。また、それゆえにソリューションも少なく、「改善の余地はあるが、本腰を入れて取り組まれていない」状況です。おそらく、効率化に取り組むにあたり人が努力するべき部分とそれ以外の部分が十分に整理されていないのだと思います。
我々はコミュニケーションや雰囲気づくりなど、人が努力するべき部分に注力できる環境づくりへの貢献を目指します。つまり議事の準備やタイムキーパー、議事録の共有など、人が頑張らなくて良いプロセスをシステムで代替し、業務プロセスの最適化へアプローチしていくのです。
たとえば、質の良い会議では、会議の目的やゴールがスタート段階で共有され、その後の決定事項も明確かつ迅速に周知されるため生産性が高い状態を実現できると言われています。テクノロジーを活用することで、「会議の目的やゴールを明確にして共有する仕組み」「決定事項を周知するまでの一連のフロー」を自動化したプロセスとして組み込んでしまおう、というわけです。
そして、もうひとつのチャレンジは会議の持つ本来の価値を最大化することです。どのような会議であっても、さまざまな立場の人が集まって、各自が有する専門性や経験、知見を持ってコミュニケーションを重ねたうえで意思決定が下されてます。つまり、会議の結論に至るまでの過程を記した議事録は、企業にとってあらゆる面での「重要な情報コンテンツ」となり得るのです。
たとえば、議事録の内容がスムーズに共有・検索できる環境があれば、営業部門とプロダクト部門でユーザー情報などをリアルタイムで共有できるため、情報の齟齬なく協働し、また、各自の業務に役立てることもできるのでしょう。
しかし、多くの議事録は見返されず、その場限りのコンテンツとして位置づけられてしまっていることに問題意識を感じていました。いつ・どこで・誰もが閲覧できる状態にしておくことで、自身のナレッジとして活用される場面も大いにあるでしょうし、何よりも組織の未来を築く有効な財産となり得ることは間違いありません。部門間での情報交換も自然と活性化されますし、新たなコラボレーションの種となり、真の意味での「生産性向上」の糸口になるのではないかと考えています。