「電話をかけて嫌がられることが減った」――精神面でのメリットも
「MAツール」とは、見込み顧客のデータ――いわゆる「リード」を取り込むことで、オンライン上のコミュニケーションを図りながら営業の効率化も高めるサービス。「ウェブサイトに訪問した」「製品ページから資料をダウンロードした」などのオンライン上の行動を把握できるのが大きな特徴だ。また、そうした行動履歴に合わせたスコアリングやメールマーケティングの実施や、シナリオ機能を活用したオンラインコミュニケーションの自動化も実現する。
MAを活用したチームでの目標達成に向けて、徳井氏が導入を決めたツールが「SATORI」だった。複数ベンダーのコンペが行われる中で、「SATORI」を導入する決め手となったポイントは、「リードの育成だけでなく、新規のリード獲得にも活用できること」だったという。
「多くのMAは、施策を打てるリードをたくさん持っていることが前提として設計されていました。当時は、営業全員が保有するリードをかき集めたとしても、目標達成のための商談件数から逆算すると、リード数が足りていない状況であったため、新規のリードを獲得する段階から活用できる『SATORI』が自社のニーズと合致したんです」(徳井氏)
チームが「SATORI」を活用し始めたことによって解決された課題は、大きく3つ――「新規リードが少ない」「効率の悪いテレアポ」「営業の属人化/大量の休眠顧客」であった。リード数は10倍、商談獲得率は15倍になり、受注も増加したという。
また、セッションの中盤では新規のリード獲得にあたって実践された工夫の詳細も解説された。
具体的には、サイトを訪れた顧客について「問い合わせページを訪問したが、問い合わせをしなかった人」「1ヵ月間に2回以上サイトを訪れた人」「料金ページと導入事例ページを見ている人」とグループピングを実施したのち、行動履歴に合わせた適切なポップアップをウェブサイトに表示させたという。また、プッシュ通知機能を併用することでサイト離脱後のアプローチも図られた。徳井氏は「このプッシュ通知を使うことで、必要以上の広告費用をかけずに済んだこともメリットだった」と振り返る。
「もちろん、連絡先がわかる方であれば、サイトから離脱してしまったとしても電話やメールでアプローチができるのですが、お名前がわからない方には、リターゲティング広告を出す以外のアプローチが難しかったんです。そこで、このプッシュ通知機能を活用することで、広告費用を払わずとも、サイトへの呼び戻しができるようになりました。現在私が在籍するSATORI内でもこのプッシュ通知機能は活用されており、3分の1の広告費用が削減された実績があります」(徳井氏)
アポ獲得の効率化に着手するにあたって、徳井氏は情報を整理することからスタートしたという。まずは営業が持っているすべての名刺をデータ化し、顧客のオンライン行動に基づいたスコアリングを行った。その後、購買意欲が高いと思われるユーザーに向けて優先的にアプローチを行うように切り替えるかたちでテレアポの効率化を実現。「電話をかけて嫌がられるという経験が大幅に減りました」と、精神面でのメリットにも言及された。
「『SATORI』を導入してからは、料金ページをじっくり見ている人に狙いを定めて連絡をしたり、メルマガから資料をダウンロードしたお客様を見極めて『資料はどうでしたか?』という電話をすることができたりするなど、行動指数に基づいてアクションの優先順位づけできるようになりました。明確なデータに基づいて顧客の興味関心を把握できるようになったことで、商談獲得率は15倍に成長しましたね」(徳井氏)