「毎月25件のアポを取ってくること」と名刺の束を渡された
広告代理店でトップセールス経験し、マーケティング部署の立ち上げなどを経験した徳井ちひろさんは、前職で活用したMAツール「SATORI」に感銘を受け、同ツールを提供するSATORIへ転職。現在はマーケティング営業部 フィールドセールスグループ 営業企画チームのリーダーとして、営業企画に携わっている。
本セッションでは、徳井氏が前職でデジタルマーケティング製品の営業職として組織変革に取り組んだ自身の経験を振り返りながら、マーケティング組織を立ち上げた理由、MAを活用するまでの過程が解説された。
新卒入社した広告代理店では、入社早々「毎月25件のアポを取ってくるように」と名刺の束を渡された徳井氏。顧客と過去に交わされたやりとりが何ひとつわからないまま、がむしゃらに営業活動を行っていたという。25件という目標値にも数的根拠はなく、「こうした営業活動は、私自身も嫌でしたし、お客様にとっても迷惑になっていたでしょう」と振り返った。
当時の営業現場では、架電件数重視で効率の悪いテレアポやリストの属人化により情報資産は蓄積されず、また、がむしゃらに獲得されたリードであったため、アポの成約率が低迷し続けるなど、課題が山積みであったという。
こうした課題に直面した徳井氏が「個人的に」着手したのは、次の3点。
- 効率の悪いテレアポ:適切なタイミングでのフォローを実施
- リストの属人化:自分の顧客をきちんとリスト化
- イマイチなアポも多く受注ができない:失注理由とフォロータイミングを明確化
「自己流ではありますが、Excelで顧客を記録し、失注した場合やアポにつながらなかった顧客の情報などをまとめていきました」と徳井さんは語る。「自社のマーケティング課題が認識されていない」「予算が下りない」「タイミングが悪い」などの、顧客と「会えない理由」をまとめて可視化したうえでフォローに取り組んだのだという。
「タイミングも意識していました。たとえば、ウェブサイトのリニューアルをするという話を耳にした際には、サイトリニューアルのタイミングを見計らってSEOサービスのご提案をしたり、予算が下りなかったお客様に対しては、決算期直前に連絡をしたりしていました。また、マーケティング課題の存在に自覚的ではないお客様に対しては、自身で課題を発掘するうえで助けになるような情報を共有するメール配信にも取り組んでいきました」(徳井氏)
これらの対策が功を奏し、入社1年目が終了するころにはトップセールスへ上り詰めた徳井氏。しかし、その後は新人の売上が伸びず、チームが掲げる目標が達成できずに苦戦を強いられたのだという。
チームで目標を達成するべく、徳井氏が取り組んだのは自社のセールスフローと課題の分析だ。営業会議で「どのように改善に取り組むべきか」を徹底的に議論する中で、当時の上司から知らされたのが「MAツール」の存在だった。
「電話をかけて嫌がられることが減った」――精神面でのメリットも
「MAツール」とは、見込み顧客のデータ――いわゆる「リード」を取り込むことで、オンライン上のコミュニケーションを図りながら営業の効率化も高めるサービス。「ウェブサイトに訪問した」「製品ページから資料をダウンロードした」などのオンライン上の行動を把握できるのが大きな特徴だ。また、そうした行動履歴に合わせたスコアリングやメールマーケティングの実施や、シナリオ機能を活用したオンラインコミュニケーションの自動化も実現する。
MAを活用したチームでの目標達成に向けて、徳井氏が導入を決めたツールが「SATORI」だった。複数ベンダーのコンペが行われる中で、「SATORI」を導入する決め手となったポイントは、「リードの育成だけでなく、新規のリード獲得にも活用できること」だったという。
「多くのMAは、施策を打てるリードをたくさん持っていることが前提として設計されていました。当時は、営業全員が保有するリードをかき集めたとしても、目標達成のための商談件数から逆算すると、リード数が足りていない状況であったため、新規のリードを獲得する段階から活用できる『SATORI』が自社のニーズと合致したんです」(徳井氏)
チームが「SATORI」を活用し始めたことによって解決された課題は、大きく3つ――「新規リードが少ない」「効率の悪いテレアポ」「営業の属人化/大量の休眠顧客」であった。リード数は10倍、商談獲得率は15倍になり、受注も増加したという。
また、セッションの中盤では新規のリード獲得にあたって実践された工夫の詳細も解説された。
具体的には、サイトを訪れた顧客について「問い合わせページを訪問したが、問い合わせをしなかった人」「1ヵ月間に2回以上サイトを訪れた人」「料金ページと導入事例ページを見ている人」とグループピングを実施したのち、行動履歴に合わせた適切なポップアップをウェブサイトに表示させたという。また、プッシュ通知機能を併用することでサイト離脱後のアプローチも図られた。徳井氏は「このプッシュ通知を使うことで、必要以上の広告費用をかけずに済んだこともメリットだった」と振り返る。
「もちろん、連絡先がわかる方であれば、サイトから離脱してしまったとしても電話やメールでアプローチができるのですが、お名前がわからない方には、リターゲティング広告を出す以外のアプローチが難しかったんです。そこで、このプッシュ通知機能を活用することで、広告費用を払わずとも、サイトへの呼び戻しができるようになりました。現在私が在籍するSATORI内でもこのプッシュ通知機能は活用されており、3分の1の広告費用が削減された実績があります」(徳井氏)
アポ獲得の効率化に着手するにあたって、徳井氏は情報を整理することからスタートしたという。まずは営業が持っているすべての名刺をデータ化し、顧客のオンライン行動に基づいたスコアリングを行った。その後、購買意欲が高いと思われるユーザーに向けて優先的にアプローチを行うように切り替えるかたちでテレアポの効率化を実現。「電話をかけて嫌がられるという経験が大幅に減りました」と、精神面でのメリットにも言及された。
「『SATORI』を導入してからは、料金ページをじっくり見ている人に狙いを定めて連絡をしたり、メルマガから資料をダウンロードしたお客様を見極めて『資料はどうでしたか?』という電話をすることができたりするなど、行動指数に基づいてアクションの優先順位づけできるようになりました。明確なデータに基づいて顧客の興味関心を把握できるようになったことで、商談獲得率は15倍に成長しましたね」(徳井氏)
データに基づいたトライアンドエラーを実現できるということ
セッションでは、「行動履歴に基づいたメールマガジン配信機能」で得られたメリットについても解説された。メールマガジンの開封者を対象とした一定期間経過後の追加メールの自動配信や、資料をダウンロードした人を対象とした営業担当者からの架電など、顧客の動きに応じたアクションの効率化が実現したという。
「メルマガの効果測定機能には非常に助けられました。素人の私であっても、より効果的な施策が検討できるようになり、休眠顧客への効果的なアプローチが実施できるようになったんです。メール送付後の送信件数やURLのクリック数、資料ダウンロード数、開封率などが容易に把握できたため、たとえば件名を工夫して『開封率のよいメール』を追求するなど、データに基づいたトライアンドエラーが可能になったことは大きな利点でした」(徳井さん)
ほかにも『SATORI』活用の重要なポイントとして言及されたのが「顧客に連絡するべきタイミング」の見逃しを防ぐ「アクション通知」だ。これは、SATORIに登録のある顧客が、ウェブサイトに訪問をした際に通知をしてくれる機能。サービス検討をしている顧客や、過去失注してしまった顧客がウェブサイトに訪問をした場合、即座に電話をかけることができるようになる。「顧客の変化にいち早く気づき、アプローチできる」ことがMA導入における大きなメリットであることが強調された。
「お客様のオフィスに訪問して『最近どうですか』と尋ねるようなコミュニケーション機会が減少した中でも、直接顔を合わせずともお客様がどのような行動を取っているかを把握し、適切なタイミングでアプローチできるのはMAを活用した営業スタイルならではですよね」(徳井氏)
その後は、営業の属人化を防ぎ、誰もが同じ水準で顧客フォローができる組織づくりを実現するうえで「シナリオ機能が役立った」というエピソードも語られた。「高い成果を上げる営業の取り組みをMAに登録することは、営業の標準化・効率化において大きな効果を発揮する施策であると感じました」と、徳井氏は振り返る。
徳井氏自身の経験を紐解きながらMA活用のメリットが広く語られた本セッション。「マーケティング部署がある会社はもちろん、専任部署がない会社でも、『こんなマーケティングへのアプローチがあるんだ』というヒントになれば嬉しい」と激励の言葉を述べ、徳井氏は講演を締めくくった。
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