御礼メールは送るな!
13)御礼メールは送るな
初回訪問後の「御礼メールは送るな」。このタイトルはある研修のときに反響が大きかった。「この意見には反対だ」「初回訪問後のマナーとして基本だ」「営業としての爪痕(メール履歴を残こせること)が残せる」と最初は否定的な意見が多かった。タイトルだけ見れば礼儀は無視しているように聞こえるし、顧客優先ではないように感じるのも無理はない。初回訪問後の当日か翌日までに顧客に対してメールを送ることは必要だと思っているし、送ったほうがいい。
私が伝えたいのは、そのメールの内容が初回訪問の時間をいただいた御礼に関することだけになっていてはダメだということ。私も初回訪問の営業を受けるが、あれだけ私の想いや弊社の問題点を話したのに、「鈴木様には貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。……以下御礼文」メールがくるとガッカリする。なぜガッカリするかというと、御礼をすることが次のアクションになってしまっていることが残念で仕方ないからだ。もしかするとこの会社は、必ず御礼メールを打つことを組織でルール化しているのかと思うと、上司はなんてムダな標準化をしているのだろう、と思ってしまう。
御礼だけのメールになってしまう理由は、「正しい」次のアクションがないからだ。どうしても具体的な2回目の商談に進めないことはある。それは仕方がない。だが「回答できなかったご質問を調べてご連絡を差し上げます」という宿題型のアクションぐらいはつくることができる。初回訪問の資料を紙で手渡しせず、あえてメールで送る資料を用意しておく営業チームもある。このように御礼を次のアクションにしないで、次の接点を何か約束してほしいのだ。次回アクションがあれば、その内容を送ったメールが御礼を兼ねているはずだ。
つまり次のアクションと御礼メールは連動している。御礼メールだけを送ると礼儀正しいしマナーは良い営業だなと好印象を与える反面、「まだまだ若手営業であんまりやることがないのだな」と私は感じることがある。「まだ私とやりとりするレベルにないな」と頼りにならない感も出てしまうのも事実だ。そんな営業に限って御礼メール後には、二度と連絡がない。「初回訪問が終わったら、御礼メールを出せ!以上」と上司が教育しているからではないだろうか。顧客に信頼されるためにも、せめて宿題型のアクションは持って帰ってこよう。その宿題を送るメールが中心で、初回訪問の御礼を添える程度にしよう。それが本当の好印象を与える初回訪問後のメールだ。