全員がトップ営業のようにデータを参照できる環境に
──営業企画としてSFA/CRMをはじめとしたSales Techの活用を推し進めていらっしゃいますね。溝上さんはもともと営業担当だとうかがっていますが、当時から課題感をお持ちだったのでしょうか。
営業担当者それぞれが、より良い提案をするためにお客様の組織図や詳細情報といった定性的・定量的な情報を集めても、それが共有されないという課題が以前からありました。さらに、全国転勤がある営業職の場合、転勤するたびにそれまで築いてきた顧客との関係性がリセットされ、またゼロから関係を構築し直す必要が生じていたのです。
そんな課題がある一方で、成果を出している営業は必ず自分自身の手元ではきちんとデータを残していますし、転勤先でも成果を出すために社内外からの情報をもとにデータをつくっていたんですよね。できればこれを、すべての営業担当者ができるようになると良いなという思いは、現場の担当者時代から持っていました。

そんな中、会社としてもデータの蓄積やSales Techの活用を検討していました。そこで、本部から「必要な項目を整理してほしい」と声をかけてもらったことが、私がこれらの活用・推進に携わるきっかけに。現在は、本部側で本格的に営業支援を担当しています。
──Sales Tech活用のステップについて教えてください。
最初に導入したのはSFA/CRMのMicrosoft Dynamics 365で、2018年ごろから導入がスタートしました。次に導入したのが、データ活用ツールのDomo。それまでは営業担当者がデータを引き出す際に、特定の人に依頼する必要があったのですが、ほしいタイミングでデータを見ることができる環境の構築を目指しました。加えて、情報蓄積支援のために訪問営業のDXを支援するUPWARDを導入しました。
──最初のステップ、SFA/CRMへのデータ蓄積で躓いたポイントはありますか。
現在のツール導入前のトライアルで、入力項目を増やしすぎてしまった点は、項目についてヒアリングをされた私の反省でもあります。現場で入力する工数が膨大になってしまいました。そこで、ヒアリング対象者の幅を広げ、「本当に必要な項目」を絞っていく作業を行いました。
たとえば、われわれのビジネスの場合重要度が高いのは、ターゲティングです。ターゲティングにおいては、自社のシェア状況が高いか低いかを中心にお客様の販売状況等は確認しており、そのデータは必ず入力するようにしました。そのほかにも「お客様の重点取り組み」は提案において押さえておきたいポイントです。それ以外にもほしい項目は多々ありますが、優先順位をつけ、たとえば50項目あるうちの10項目だけは必ず記載する、というように絞り込みました。