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2026年1月27日(火)13時~18時40分

Sales Tech ホットトピックス

「SaaS is 本当に dead なのか?」田中和也氏に聞く、顧客を置き去りにしないSaaSの条件

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売り手と買い手、双方への「喝」

──行動変容を起こすのは、そう簡単ではありませんよね。

前提として、人は外から行動変容させられることはありません。自己決定理論(※自律的な内発的動機づけが、行動の持続を決定づけるとする心理学の理論)が示すとおり、本人の中から動機が生まれないと変わりません。だからこそ、ベンダーがやるべきは現実をつきつけることと、寄り添うこと、そして熱量を上げることです。

背中を押すのが営業やプロダクト、寄り添うのがカスタマーサクセス。そういう役割分担だと私は捉えています。

──熱量という言葉が印象的です。

誰でも、トップセールスになった経験があるはずなんです。周りの人に何かを勧めたタイミング。あれがトップセールスの本質だと思っています。ポジティブで、相手のことを考えていて、売ろうというより相手に良いものを届けたいと思っている。その感覚を、プロダクトに対しても持てるかどうかが重要なんです。

──ずばりこれから、どのようなSaaS企業が淘汰されてしまうのでしょうか。

便利な機能があれば導入される、と思い込んでいるベンダーです。組織には複雑な階層があり、新しいものを入れても、現場に定着し成果につながるまでには時間がかかります。それを無視して目新しいものを差し出し続ける会社は、体力の使い方や意思決定の方向を間違えています。そうではなく、顧客がすでに持っているものに対して自社のプロダクトをどう“アンド”で組み合わせるかを考える——そこに頭を使うべきです。

──逆に、これからも強いベンダーとは。

顧客のビジネスの導線をとらえて展開がうまい会社です。SmartHRさんや、LayerXさんは、AIが流行っているから機能を足すのではなく、顧客が困っているから応えている。気づくとその機能がそこにある、という自然さがあります。

あとは行動変容に寄り添う、という意味ではツールとコンサルティングを組み合わせる会社は、これから間違いなく伸びるでしょうね。

──ここまでSaaSの売り手に向けたメッセージをいただきましたが、冒頭の4つの壁のお話も含め、買い手側の意識も変えていかねばならないのではないかと感じています。

まさに。買い手の方にも言わせてください。比較検討の段階で、ベンダーに対してきちんと情報を開示して、向き合ってほしいです。「良い提案がほしいなら、良い顧客でいなさい」と私は考えています。売り手側の工夫だけで、良い関係が成り立つわけではないですから。

──厳しい言葉ですが、本質的ですね。

「買い手がえらい」という構造のままだと、最終的に損をするのは買い手自身だと思うんです。永遠のベータ版とも言われますが、SaaSはどれも完璧ではないかもしれません。それでもすぐに自分たちの成果に向けた使い方ができるか、継続できるかが成否を分けます。

比較検討にばかり時間をかけて、ろくな効果検証もできずに定着しなかったから解約する、というやり方では、費用対効果は永遠に合いません。

勝てるSaaS企業、3つの条件

──さいごに、勝てるSaaS企業になるための必要要件を整理していただけますか。

3つあると思っています。ひとつめが、目的設計から伴走できること。ツール導入前の段階から入り、顧客のゴールを一緒につくれる会社。ふたつめが、全体の底上げを設計できること。アーリーアダプター頼みではなく、大多数を動かす運用設計を持っているかどうか。3つ目が、ナレッジが顧客側にたまる構造をつくれることです。ベンダー依存にせず、顧客自身の組織能力として知見が蓄積されていく構造をつくれるかどうか、ということですね。

——まさに導入をゴールにするのではなく、「継続」と「成果」を目指すことが重要なんですね。

そのとおりです。SaaS is deadの議論もAIの進化に対する恐怖から広がっていったようにも思うのですが、そもそも最先端のソリューションは、OpenAIやAnthropicのような稀代の天才がいる企業に任せればいいとも思うんです。

多くのSaaS事業者がやるべきは、テクノロジーと人的支援を組み合わせて、顧客の行動変容に本気で向き合うことです。一緒に頑張っていきましょう。

──ありがとうございました!

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この記事の著者

SalesZine編集部 宮田華江(セールスジンヘンシュウブ ミヤタハナエ)

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