SaaS is 「本当に」 dead なのか?
──その前提を踏まえて聞きます。昨今言われ続けていることではありますが、「SaaS is dead」は本当なのでしょうか。
半分Yes、半分Noというのが私の回答です。ただし、「ツールを提供して終わりのSaaS」は死んでいきます。一方で、「行動変容まで伴走するSaaS」はむしろ価値を増していっています。
──両者を分けるものは何ですか。
「何をしてくれるか」が顧客に明確に伝わっているかどうかが重要だと思います。たとえば消費財の世界では、細かな成分を知らなくても、人は認知をもとに商品を買うことがあります。「このシャンプーはダメージ補修に強い」「この洗剤は除菌もできる」というように、成分や機能の詳細ではなく、「何をしてくれるか」の認知が購買を駆動しているわけです。
ITやSaaSの世界では、機能開発が先行し、この「何をしてくれるか」の伝え方がおざなりにされてきました。昔はテクノロジーそのものが新しく、導入するだけで0から100の成果が出るような印象があったので、機能や性能で選ばれました。でも今は、皆さんご認識のとおりテクノロジーの立ち位置は変わっています。
──実際、導入企業の成果実感は高くありません。
そこが問題です。DXを推進している企業のおよそ7割はSaaSを導入済みですが、成果を実感している企業は4割弱という調査(※)もあります。「十分な成果が出ている」と答えた企業に至っては1割未満です。
さらに、同調査では解約理由のトップは、「機能が複雑で使いこなせなかった」で62.2%と、6割を超えている状況で、新機能を追加し続けることが顧客価値になるのか、という問いが突きつけられているわけです。
※出典:株式会社うるるBPO「SaaSを利用した業務の実態調査」(2024年、DX推進企業の管理職以上600名対象)
──機能追加が、むしろ解約を加速させている可能性すらあるのでしょうか。
ええ。サブスクリプションは「継続させなければいけない事業モデル」です。中長期での行動変容に伴走し、練度を高めていくことが本質なのに、新機能や話題性の競争に力を注ぐベンダーも少なくありません。目新しさへの期待に引っ張られやすいのは、ベンダーも顧客も同じなんです。
