営業の本音「別のキャリアに挑戦したい」
渡邊 そんな変化の前提を共有しつつ、本題に入っていければと思います。最初のテーマは、営業職の本音。梅田さんから見るといかがですか。
梅田 キャリア面談をしていると、「営業職をずっと続けていくイメージが湧かない」「ほかの仕事にチャレンジしたい」と考えている方が、体感5~6割はいらっしゃるように思えます。女性だと、7~8割かもしれません。
なぜ女性のほうが多いかというと、女性は男性よりもライフイベントから逆算して考える方が多い傾向にあるからです。良い悪いではなく、傾向ですが、男性は「何歳までに○○をしないと」を考えていないケースが多いんです。
渡邊 なるほど。不安を抱えていらっしゃる方の中には、ほかの職種に挑戦したい方も多いんですね。

梅田 多いですね。皆さんご存じのとおり、営業職はなりたくない仕事で1位、2位に挙げられることも多い。マーケティング、コンサルタント、プロダクトマネージャーなどの仕事のほうがキラキラして見えるわけです。求人でも、中身は従来の営業と同じでも、職種名を「ストラテジックプランナー」にすると応募数が数倍になることがあります。
少し話がそれますが、職種名って、モチベーションにかかわることもあるんですよね。
経営の本音「信頼の重要性をわかってほしい」
渡邊 それもまさに営業の本音ですね。営業職の地位が上がるように、三浦さんにもブランディングをお願いしたいところですが、こんな営業の本音が世の中に存在するなかで、経営、採用側から見た営業職ってどうなの? という点を三浦さんに聞いていきたいと思います。
三浦 実は、経営側がどんな人がほしいのかわかっていないケースがあります。たとえば、「気合いが入っている人がほしい」とか言うんですけど、気合いってなんやねんという(笑)。
あと、給与が大幅に上がれば誰だって頑張りますよ。給与が増えないのに気合いをいれると損するから、みんな無気力になる。「営業が18時には帰ってしまう」と不満を漏らす経営者もいますが、それは採用と組織の問題で、つまり経営の責任です。
そのうえで、「別の職種にチャレンジしたい」という営業について、私が営業職を採用していたときに感じていた本音をお話します。
まず、まさにキャリアはバスケットの「ピボット(ボールを持ったまま軸足を床につけ、動く)」をするように変えていくべきなのに、いきなり「トラベリング(ボールを持ったまま3歩以上歩く、反則)」をしている人が多い。
三浦 営業からマーケティングや営業企画を志す人は多いですが、10名中9名はどうやったらそこに到達できるのかわかっていません。積んできたキャリアに片足を残しておくべきなのに、両足を同時に動かしがち。そうすると、新卒と同じ、まだ何のスキルもない人になってしまいます。つまり、「ただ営業を辞めたいだけ」の人が実際は多いということです。
渡邊 三浦さんの周りで、うまくピボットできた人はいますか。
三浦 たとえば、泥臭く営業マネージャーをしてきた人に、挑戦したがっていた事業開発の責任者を任せたことがあります。その人が素晴らしかったのは、入社のタイミングで「まずは営業マネージャーとして成果を出しながら事業にかかわります。事業開発を任せられそうだと思ってもらえて、かつチャンスがやってくれば、ぜひやりたいです」と宣言し、本当に営業マネージャーとしてまずは成果を出してくれたことです。
渡邊 なるほど。

三浦 実績のないものを任せるというのは、とてもリスキーで、双方が不幸になる可能性もあるんですよね。自分のできることで成果を出しつつ、「素養を見せる」のもとても大切です。このときの例で言えば、「目的に立ち返って対応ができる」「行き詰まったときに、もがきながら解決する力がある」など、事業開発に必要な素養が見えてきた。その人はそうやって信頼を積み重ねていきました。
経営からすると、採用の失敗は怖いです。素養があるかもわからず、失敗する可能性もあることを「やりたいです」という人を採るのはとても怖い。「信頼の重要性をわかっている人」というのはほしい人材要件のひとつですね。
