経営統合が突きつけた営業組織の課題
組織変革期を迎えた三菱HCキャピタル。同社が2021年の経営統合(三菱UFJリースと日立キャピタル)を機に直面した課題は、組織の拡大やシステムの複雑化に悩む多くの企業に共通するテーマだった。
セッションの冒頭、営業統括本部 営業DX戦略部 企画課 課長の飯田氏は、全社的な営業変革が必要となった当時の課題を振り返る。まず外部環境として、顧客ニーズの多様化・複雑化に加え、リースと競合するサブスクリプションやシェアリングサービスなどの新たなビジネスモデルが台頭。限られたリソースの中で持続的な成長を遂げ、高まる事業目標を達成するためには、営業生産性の劇的な向上が不可欠だった。
一方で、営業現場においても、さまざまな課題を抱えていた。ひとつは、営業スタイルが属人化していた点である。提案からクロージング、アフターフォローまでひとりの担当者が担う一気通貫型であり、営業活動は勘(K)・経験(K)・度胸(D)に頼る部分が多く、定性的な判断に依存していた。これにより、成果の再現性が低く、担当者間での営業力の差が大きくなった。
ふたつめは、経営統合の弊害として、各社で異なるシステムが併存し、情報共有が困難となり業務効率が大きく低下していたことだ。これらの問題を解消し、「古い営業から新しい営業へ進化させる」ことが、変革の起点となった。
三菱HCキャピタル株式会社 営業統括本部 営業DX戦略部 企画課 課長 飯田 将人氏
分業モデルと「科学的な営業」を支える新CRM戦略
これらの課題を解決し、生産性を高めるために設定された変革の柱はふたつ。ひとつは、営業プロセスをデジタルマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスが連携する分業モデルへ転換すること。もうひとつは、過去の受注傾向や実績データを活用し、誰もが一定の成果を出せる科学的な営業組織を構築することだ。
この変革を進めるうえで、同社は「データを蓄積・集約・活用できるシステム基盤」の構築が不可欠であることに気づいた。顧客と接点を持つプレイヤーが増えたことで、組織横断的な情報共有の共通基盤が不可欠になったのだ。また、勘や経験ではなくデータに基づく戦略を立てるためにも、部門やシステムを超えて情報を活用できる環境が欠かせなかった。
この実現のため、2023年12月に新CRMプロジェクトがスタートした。経営統合で乱立していたSFAやMAなどのシステムを刷新し、共通基盤を構築。また、社内に強くあった「SFA=営業が管理されるシステム」という印象を払拭して「顧客のデータを活用する基盤」というイメージに変えるため、システムの呼称を「CRM」に統一し、社内の意識改革を図った。

