顧客主語の新たなアプローチ「カスタマーモデル」
カスタマーモデルとは、ずばり“顧客”を主語に、行動や検討プロセスに沿って自社の機能を再設計するアプローチだ。
顧客がどのように情報を集め、社内でどう調整し、誰と議論し、どのタイミングで意思決定に至るのか。そのリアルなプロセスに寄り添い、部門を横断して意思決定を支援する仕組みを構築していく。
言わば、The Model型の分業体制が「売り手視点での効率性」で組まれていたのに対し、カスタマーモデルは「買い手の意思決定」に合わせて全体を組み直す考え方だ。営業やマーケティングといった役割単位での最適化ではなく、顧客1人ひとりの購買行動に応じて、組織全体の連携と再設計が求められる。

カスタマーモデルの構造は、顧客が中心にあり、顧客と関係をつくるための重要な活動が周囲にあり、さらにそれを支えるための組織やデータ活用の仕組みがいちばん外側にある。当然ながら、中心に近づくにつれて重要度が高まることは言うまでもない。
この考え方は、同心円型の図として示すことができる。

中心は「顧客」
すべての出発点は顧客の意思決定である。何に悩み、誰と相談し、どんなタイミングで動き出すのか。こうした“リアルな心理・状況”を起点に、組織のアクションや設計方針が決まっていく。
次のページで、カスタマーモデルを構成する要素を詳しく見ていこう。