必要な入力項目を絞り、現場が活用しやすいCRMに
宮田 マイナスからゼロにするだけでなく、プラスで良い体験をつくることがシステム導入時には重要ですね。ノーリツさんの運用体制はいかがでしょう。
溝上(ノーリツ) リアクションが早くでき、現場が使いやすくなるという考えのもと、営業企画部が中心となり技術サポートをIT推進部、システムはITベンダー、利用者の声の収集は我々という三位一体の運用体制で進めています。とくにIT推進部とはDXの流れを受けて連携することが増え、今は我々が考えられないようなこともIT推進部にも指摘をもらい、いろいろと共有したり、すぐにシステム化してくれたりという関係になっています。

宮田 現場の活用状況はいかがですか?
溝上 CRMは、所課の会議や1on1をする際のベースになっています。お客様の情報を蓄積し、そこから計画を立てて動いた行動の結果をしっかり個別で確認しながら次の戦略を立てるという流れになっています。
私が最初にCRM導入プロジェクトに参加したときはまだ営業担当だったのですが、その際は入力必須の項目がたくさんあって、現場では「ここまで情報を入れなければならないのか」とマイナスな捉え方をされることが多かったのです。そこで項目を極力減らし、チェック方式で簡素化するなどの工夫をし、活用を促しています。時々に応じてカスタマイズしていくことも大事なので、必要な情報を整理しながら引き続きアップデートしています。
エージェントAIと人間で営業価値を最大化
宮田 CRMにもAIが実装されつつありますが、AI活用に関してどのようなチャレンジをしているのか、現在地を教えてください。
武井(三菱UFJ銀行) まだこれからの話になりますが、エージェントAIを労働力にするという姿を見据えています。事務や作業をエージェントAIに任せたうえで、担当者はお客様を深く知る活動に特化し、それをAIが支援するという循環を作っていきたいですね。
溝上 武井さんと同様に、今あるシステムにAIをどう組み込んでいくかを考えています。現在地としては、あるものを何とか使いこなそうとしているところなのですが、我々としては問題認識力が重要だと思っていて、「あったらいいな」と感じているものはすでに存在しているケースが多いので、その先に潜んでいる事象を人の力で捉え、そこにAIを組み合わせることで営業の価値を最大化することに挑戦したいです。
宮田 では最後にメッセージをお願いします。
武井 銀行は膨大なデータを扱っており、我々だからできることはたくさんあります。少しでもお客様の力になれるようにがんばっていきます。溝上さんの話を聞いていて、業界こそ違いますがCRMの観点でもっとも重要なことは同じだと感じました。声にならないところを拾うということや、うさぎと亀の話も非常に刺さりました。

溝上 これからは情報をいかに活用し、その中から問題をいかに捉え、それによって常にアップデートし続けることが大事だと思っています。我々もCRMを活用し有用な情報をキャッチアップして、会社としてもアップデートをし続けていきたいですね。
宮田 今日のイベントのテーマは営業インフラというところで、CRMやSFAの運用には難しさがたくさんあると思いますが、おふたりのお話をうかがっていると、ここを盤石にしていけば組織が強くなっていくとあらためて感じました。ありがとうございました。