1社では限界がある リコージャパンが挑む「DXエコシステム」
──リコージャパンが掲げる「DXエコシステム」について、その全体像をお聞かせいただけますでしょうか。
染谷 リコージャパンが「DXエコシステム」という方針を掲げたのは2024年のことです。それ以前から、私たちはさまざまなパートナーと一緒にビジネスを共創する活動を行っていました。
しかし、近年はお客様の業務が複雑化し、明確に切り分けることが難しくなっています。多くのソリューションがクラウド化する中でお客様のDXを推進していくにあたり、どうすれば実現できるか考えた結果、私たち1社で実現できる範囲には限界があるという結論に至ったのです。
この悩みは各社共通ですから、パートナーと協力してお客様の業務を幅広くDX化し、改善していこうという動きを「DXエコシステム」という名のもとに打ち出しました。
──なるほど。パートナーとの関係性も変化したのでしょうか?
染谷 そうですね。これまではパートナーがつくった製品を私たちが仕入れて、お客様に販売するという体制でした。しかし、今はそれをより密接に融合させ、企画段階から一緒に取り組んでいく関係性をパートナーと築いています。
単に製品を「売る」だけでなく、お客様の課題を解決するソリューションを「つくる」、そしてその活用を「サポートする」というすべてのプロセスを、パートナーとともに行うことを目指しています。
──そうした中で、パートナー同士が競合になることもあり得るかと思います。その点はどのようにとらえていますか?
染谷 競合となる企業がエコシステム内にいることは当然あり得ます。市場を一緒につくっていくという意味では仲間ですが、お客様にソリューションを提供するうえでは、競わなければならない場面も出てきます。この関係性の構築は、非常に難しいところではありますね。
しかし、繰り返しになりますが、もはや1社でお客様が抱える業務課題すべてを解決できる時代ではありません。どのお客様のどのような業務課題を、どのパートナーと組んで解決するのか。その都度判断していく必要があります。