営業KPIを横ぐしで管理 SFAと組織の変革に挑む
──はじめに、識学の営業組織について教えていただけますか。
当社の主なサービスはマネジメントコンサルティングであり、「識学」という理論を使って顧客の組織課題を解決します。顧客層は業種業界を問わず、主に100人以下の中小企業が中心です。
当社の営業組織は大きく分けると、営業部(フィールドセールス)、コンサルティング部を含む営業本部と、マーケティング部門、インサイドセールス部門を含むセールスプロモーション部で構成されています。
マーケティングがリードを生成し、インサイドセールスが架電し、営業部が商談を担当する。そしてコンサルティング部がサービスを提供するという流れです。その中で、Salesforceは社内で約200アカウントを利用しています。
──今回の改革に着手した背景を教えてください。
最大の課題は、「アポ数」「デモ数」「提案獲得数」「提案済数」「案件化」と進む商談プロセスのうち、提案に至る割合が悪化していたことです。その理由は、インサイドセールス部門と営業部が別々の本部に所属していて、ミッションが異なっていたことにあります。
インサイドセールスのミッションはアポイント供給数や商談設定数ですから、「とにかく商談を設定したい」という思考が働きます。しかし、それらは必ずしも売上に直結しません。売上創出をミッションとする営業部からしてみると、「この案件は成約しそうにない」というものも多く含まれてしまうのです。
営業担当者の時間は限られていますから、成約見込みの低い商談に時間を取られるのは機会損失です。この課題を解決するために、組織改革とSalesforceの活用に踏み切りました。

──改革を推進するために新しい部署を設立されたそうですね。
はい。識学推進課(2025年3月1日から営業企画部に改称)を新設しました。会社全体の取引額を高めるには組織を横断して連携を深める必要がありますが、それまで識学には、営業組織全体を横ぐしで管理する機能が存在しなかったのです。
私たちの部署は、営業KPIを分析し、目標未達の要因を特定して仮説を立て、施策を立案するミッションを持っています。Salesforceからデータを抽出し、細かなKPI分析を行うことで、短期的な売上改善から中長期的な組織編成まで、さまざまな意思決定をサポートしています。