何やってんだこの営業は。 https://t.co/sSJM3W7gFq
— 向井 俊介 | 営業アドバイザー&営業実務教育研究 (@Shun_Mukai0718) July 12, 2023
今回のテーマ:「嘘をついてアポをとる営業」への苦言をSNS上で見かけることが増えました。「嘘をついてアポをとる」が発生してしてしまう原因と、そんな営業組織がどう変わるべきか、向井さんにお話を聞きました。
“嘘をついてアポをとる”の裏にある「KPI」の問題
大きくふたつ、「KPIの問題」と「営業組織の価値観やカルチャーの問題」があると思います。そして両方とも、マネジメントの重要な仕事ですから、このような営業が横行している組織があれば、それはマネージャー、さらに言えば経営者も含めた人たちの「怠慢」だと言いきっても良いと思います。
一方、さまざまな企業の営業を支援する中で、「KPI設定について悩んでいる」企業が非常に増えています。大前提としてKPIに正解や「一般的なもの」などありません。自社の向き合う顧客や市場に対して、どのようなプロダクトをどのようなセールスサイクルで提案するのか、KGIによってKPIの立て方は変わります。多岐にわたる Performance Indicatorから、自社にとって重要な指標を見つけることは自分たちしかできない。まずはこの共通理解が組織に必要だと思います。
そのうえで今回のテーマに則ると、嘘をついてアポをとる組織では「アポ数」がKPIや評価の対象になっているのでしょう。とはいえ、そのために「嘘をつかざるを得なくなる」のはカルチャーの影響も大きいはず。いずれにせよ、KPI(本当にそれがKPIなのか? という疑問はありますが)を重視しすぎた結果、このような営業スタイルが常態化している組織は、社会問題となっているビックモーター社のような道筋をたどってしまうかもしれません。
IT・SaaS業界で言えば、インサイドセールス組織のKPIがアポ数である組織は多いでしょう。「アポはとったのだから、手段も後工程も知ったこっちゃない」という姿勢では当然その後、ビジネスにつながる可能性は低いです。
一方で、「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」「100人に電話してひとり会ってくれれば良い」──そんな確率論的に市場を捉える人たちも一定数います。ホワイトペーパーをダウンロードしてくれた人の中から何%が電話に応じてくれて、その何%がアポにつながり、その内の何%が商談になって……そこから逆算して投資額を考えていく。
個人的には、いまこの国でこのやり方を続けるのは良くないと思っています。労働人口が減る中で、会社の規模や売上が大きく伸びる兆しもない。中小企業の4~6割は3年で倒産すると言われています。消耗品のごとく見込み客にぶつかっていくのではなく、1社1社ときちんと長くお付き合いできないかと考える、その視点が必要だと思います。