商談受注率が倍増! フォーキャスト管理の意義
正確な予測を行い、そしてその予測値をもとに目標とのギャップを明らかにし、ギャップを埋めるための対策を講じることを「フォーキャスト管理」という。なかでも「セールスフォーキャスト」は、ある将来の特定の期間において、売上・受注件数等の営業目標をどの程度達成できるか予測することを指す。
「程度の差はあるかもしれないが、ほとんどの企業はセールスフォーキャストを実施しているでしょう」と福眞氏。その現れとして、分業体制を導入する企業の多くが、とても熱心にパイプラインマネジメント(商談進捗管理)に取り組んでいるという。しかし、商談進捗の把握と「自社がいつ、いくらでこの商談を受注できるか」という成果予測は別物だと福眞氏は指摘する。
「たとえば、商談のフェーズが進んでも、提案先がキーパーソンでなければ、その商談の確度は著しく低い。商談進捗管理とフォーキャスト管理は別々で行う必要があります」(福眞氏)
では、理想的なフォーキャスト管理とはどのようなものか。そのひとつとして福眞氏は、商談の受注確度に応じてカテゴリーを設定することを提案する。たとえば次の図では、受注を約束できる「達成予測(コミット)」、今期の受注見込みがあるがリスクもある「最善達成予測(ベストケース)」、今期の受注見込みが立っていない「パイプライン」を設定している。
「最終的に自分がどこまで受注できるのか、営業自身が意思を持って成果予測を宣言していくことが重要です」(福眞氏)
しかし、このフォーキャスト管理の実態について、いまだに「古い手法に頼っている」と福眞氏は語る。よく見られるのが、データの多重管理の問題。SFA/CRMの導入が進んでいるにも関わらず、依然としてExcelへデータを出力して管理やレポーティングを行っている企業が非常に多い。結果として、フォーキャスト会議のための資料準備に多大な工数がかかっているなど、削減できるコストに気づかないまま、生産性を上げられずに悩んでいるケースも多い。
このような課題もあり、フォーキャスト管理ツールがグローバルでトレンドになっていると福眞氏は語る。その理由は「確実にROIが上がるから」だ。
フォーキャスト管理ツールは、営業活動データをリアルタイムで収集・分析し、目標に対するギャップを早期発見することで確実に目標達成へ導くツールだ。フォーキャスト管理ツールを利用している企業は、利用していない企業と比べて目標達成できる確率が約10%高い。また、営業担当の満足度も向上する。福眞氏はこれを「ツールを見れば状況を把握できるため、現場に余計な工数がかからないからでは」と考察する。そしてもっとも重要なのが、フォーキャスト管理ツールの活用により、商談受注率が2倍以上に増加するというデータだ。
フォーキャスト管理ツールは「成果にコミットするために最適化されたツールだ」と福眞氏は強調した。このフォーキャスト管理ツールとして、Xactlyは「Xactly Forecasting」を提供している。
フォーキャスト管理ツールの「4つの特徴」
続いて、フォーキャスト管理ツールで実現できることとして、4つの特徴が紹介された。
ひとつめの特徴は、営業活動を営業のベストプラクティスに基づき自動で分析して、アラートを発出し、必要なアクションをうながせることだ。現在のフェーズで行うべきToDo、たとえば「次回の打ち合わせが設定されていない」といったアラートが、商談ごとにダッシュボード上で強調される。このアラートに沿って必要なアクションを実施していくことで、最終的には、後述する“商談スコア”も向上する。
「1つひとつの商談でベストプラクティスに基づいたコーチングを行うことで、営業担当1人ひとりが自分でやるべきことに気がつき、“セルフマネジメント”の実行が可能になります」(福眞氏)
ふたつめが、商談スコアによる確度の可視化だ。企業や営業組織が営業担当に求めるアクションに応じて、商談の確度をスコアリングする。「商談スコアが100点になれば受注確定」など、100点を満点とするケースが多い。スコアリングのルールは、企業が扱う商材や営業サイクルに応じて設定が可能だ。たとえば企業の役員クラスとの折衝が必要な商材であれば、「役員との打ち合わせでスコアが5点アップ」といったルールを設けることができる。商談スコアを使えば、主観が入りがちな商談の確度を客観的に評価することができる。
3つめは、商談の行方の容易な追跡。隠れた失注や長期停滞している商談、来期にスリップした要因などを抽出し自動で可視化する。とくに、多数の商談を管理するマネージャーに重宝される特徴だ。これはフォーキャスト管理ツールが、データのスナップショットを過去から現在まで蓄積しているからこそ実現できる。「たとえば、先月は5億円あったパイプラインが急に2億円に減ってしまった。差額の3億円はどこに行ってしまったのか、マネージャーは行方を容易に追うことができるのです」と福眞氏。どの案件がスリップしたのか、その要因は何かワンクリックでドリルダウンできる。
4つめの特徴が、フォーキャストだ。Excel等でまとめられることの多いフォーキャストレポートを、ツール上で自動で作成する。これまで営業マネージャーや営業企画の担当者が多くの時間を割いていた取りまとめの工程が不要になる。また、Excelとの多重管理によって発生していたデータにまつわる問題からも解放される。さらに、リアルタイムのフォーキャストをいつでもダッシュボード上で確認できるため、目標とのギャップを確認しながら、成果にフォーカスした管理に取り組むことが可能となる。
福眞氏は「フォーキャスト管理ツールを用いて、単純な売上予測をするだけではなく、目標達成するためのマネジメントへレベルアップしていただきたい」と呼びかけた。