“3つの課題”を乗り越えるため、エンドユーザーとの接点を強化
ミシンの修理・開発から始まったブラザーグループ。100年以上の歴史の中でプリンター事業を拡大し、現在はプリンター/複合機やラベルプリンター/モバイルプリンターといった製品を扱うプリンティング・アンド・ソリューションズ事業を主力に展開。グループビジョン「At your side2030」を掲げ、顧客の課題解決に取り組んでいる。
本セッションでは、同グループの国内販売会社として営業・マーケティングを担うブラザー販売の、2018年度から2021年度における変革が紹介された。
「私がファーストキャリアで経験したキーエンスの直販体制とは真逆で、ブラザー販売は、販売チャネルを100%活用した卸売ビジネスを展開しています」と城尾氏。販売代理店やディーラー、システムインテグレーターなど多くの販売店を経由して、製品をエンドユーザーへ提供するアカウント営業を実施している。
城尾氏は、変革の初期段階における3つの課題を紹介した。ひとつめは、既存顧客との長期的な取引継続が困難になっていること。サブスクリプションモデルの登場やビジネス形態の多様化により、購入方法やプランも多様化し、製品の入れ替えタイミングにおける継続的な提案が難しくなっていた。
ふたつめは、クロスセル率が想定より低いこと。プリンター/複合機を購入する顧客は、ラベルプリンター/モバイルプリンターも業務で使っていることが多い。そうであるにも関わらず、ラベルプリンター/モバイルプリンターの追加提案に結びついていなかった。
そして3つめの課題が、失注理由が不透明であること。とくに販売店主導の商談では「価格面で負けたかもしれない」「競合の製品のほうが気に入られていたのだろう」など、失注理由を想像するしかない状況にあった。
これらの課題に対して、3つの対策を講じた。はじめに、フォロー提案の強化。顧客のもとへ短スパンで継続的に提案に向かう。次に、販売店への同行強化。販売店の営業担当に同行し、エンドユーザーへ直接クロスセルを提案する。さらに、販売店に失注要因を確認したうえでSFAに入力することを徹底し、失注要因のナレッジ化を図った。
「これらの3つの対策すべてにおいて必要となるのが、エンドユーザーとの接点強化でした」(城尾氏)