[参考]連載第2回「データドリブン体制には『重要指標』の設定が必須! 適切な投資分配を行おう」では、データドリブン体制に必要な「重要指標」の設定について解説がありました。今回はその補講回的な位置づけで、組織編制の観点から、分業・協業体制に取り組むにあたって重要なポイントをまとめました。
設定期限内に結果を出すためのプロセス=“戦略”
分業・協業体制に取り組む場合、組織編制において次の点が重要になります。
- 組織全体の共通目標が明確にされている
- 組織内の個々の部門の役割が明確になっている
- 組織内の個々の役割に重複がない
- 組織内の個々の部門の連携性がある
営業組織であれば売上、投資、利益といった数値が目標に設定されていることが多いと思いますが、売上、投資、収益予算はいずれも結果指標。その結果を出すためのプロセスが営業戦略です。
ここでおさらいですが、データドリブンとは、目的達成を実現するプロセスを紐解き、プロセス内の工程を把握し、工程の見直しを図ることによりパフォーマンスを改善するプロセスとサイクルのことを指します。
目標の設定、プロセスとサイクルを実行するのが組織。プロセスの評価を行う際に必要なのが重要指標です。それらを踏まえながら具体的にプロセスと重要指標の定め方について、掘り下げて考えていきたいと思います。
「経営資源」(Input)→「戦略」(プロセス)→「成果」(Output)※図参照
限られた「経営資源」を使い、設定された期限内に「成果」に到達する。それを実行するプロセスが「戦略」です。そして「戦略」を実行する主体が「組織」となります。「組織」にはさらに各々の役割を持つ、機能別の組織が存在しています。個々の組織の役割が明確に定められ、重複せずに連携することで組織の成果目標を目指すことができます。
売上の構成要素を分解し、成長に必要な要素を特定
それでは具体的に戦略を立案するために、「売上」という「成果」のプロセスを分解してみましょう。次の図は第2回でもご紹介していますが、全体の構成を考えるうえで重要なため、再掲します。このプロセスの分解については、多くの参考情報がインターネット上で広く公開されています。「売上、分解、ツリー」などで検索すると、いくつも事例がヒットすると思います。ご自身の事業に適したモデルを参考にしながら自組織に適したモデルを考えてみてください。
まずは「売上」を上図のように分解し、分解した要素の中から自組織の成長に必要な要素を特定します。受注数を増やすのであれば、「新規顧客との取引を増やすべきなのか」「既存顧客との取引を増やすべきなのか」「取引商談数は多いが、成約数が少ない場合は成約数を上げるために何をすべきなのか」と検討を重ねていきます。
最終的に、どの要素をどの程度改善させるのか具体的な目標値を設定します。受注数を10件増やすことで売上目標を達成することができると仮定した場合、そのための手段として「成約率を増やす方法」と「商談数を増やす方法」が考えられます。どちらも取り組み可能であれば両方の目標値を設定する、どちらかしか取り組めない場合はどちらかを選定することになります。