分業後、「協業・連携」ができていない組織が4割
前回記事「今こそ本気ではじめよう! 優れた営業戦略に必要な『データドリブン』のポテンシャル」でご説明したとおり、取得可能なデータが顧客・企業双方とも増えた環境下では、営業部門が単体で担うことが多かった売上目標を、他部門も分解して担うケースが増えています。
具体的には、早期アプローチ需要の高まりによって生じたリード獲得や、獲得したリードに対する商談化から提案、成約、そして継続や拡大というリカーリングの各段階を一手に営業が引き受けるのではなく、それらをマーケティング部門、インサイドセールス部門、フィールドセールス部門、カスタマーサクセス部門など複数部門が分業・協業して対応する体制が構築されています。
この組織の分業化は、かのアダム・スミスが『国富論』において「個々の作業に特化することで労働者の腕前が向上する」「ある作業から別の作業へと移る際の時間が節約される」「各作業を容易にする多数の機械が発明されやすくなる」と評価をしています。1776年、すでに見いだされていた分業化の真価は、各分野のスペシャリストの出現、各種情報収集ツールやBIツールの登場、生産性の向上というかたちで、現在私たちの目の前でも繰り広げられているのです。
上図は分業・協業体制の一例ですが、このように各部門の担当領域には重なる部分があります。そのため、「この領域はこの部門が売上を握る」という単純な線引きはできなくなり、組織間の連携により売上を創出するプロセスが生まれてきます。場合によっては組織間連携のメトリクスとして、前工程の部門が後工程の部門のKPIの一部を担う「クロスKPI」を用いることも必要となります。
ところが現状はどうでしょうか。当社が先日実施した調査(※)では、マーケティングやインサイドセールスなどの組織を設け、営業を「分業化」している企業に「組織間連携がうまくできているかどうか」をたずねた項目がありました。
「あまりできていない」「まったくできていない」──合わせて約4割が、うまく連携を取れていない実態があるようです。ではどうすれば良いのか。そのヒントが、今回のテーマ「データドブリン」にあります。
(※)「営業組織の予算達成に関する実態調査」(ウイングアーク1st/2022年8月16日発表)