「属人化」に連動した生産性向上、新規開拓の課題
宮田(SalesZine) 本セッションでは、抱えていた営業課題から取り組んだ組織改革、インサイドセールスの位置づけや、定着のために大切にしたこと、得られた成果までうかがわせてください。まずは自己紹介をお願いします。
志知(堀場エステック) 堀場エステックは京都の堀場製作所のグループ会社で、主に流体を計測制御する機器の製造・販売を行っています。私自身ずっと営業畑におりまして、海外営業や外回りの営業を経験したのち、販売促進部門に異動しました。そこで感じた課題を踏まえて、SFAやMAの導入、インサイドセールスの立ち上げを行い、現在はデジタルマーケティングチームのリーダーをしています。今日は少しでも皆さまの業務のお役に立てればと思っています。
斉藤(マイナビ) 採用コンサル企業からマイナビに移り、メディア営業を経験したのち、営業推進のチームで商品開発や営業育成、プラニングなどを担いました。そこでフィールドセールスにおけるいくつかの課題を感じ、インサイドセールスの立ち上げ、マーケティング部門の立ち上げを行いました。マイナビのメイン事業は人材ビジネスですが、本日は私が携わっている「マイナビニュース」「マイナビウーマン」「マイナビ子育て」などのメディアの広告営業における改革についてお話させてください。
宮田 おふたりとも営業担当者としてキャリアをスタートし、さまざまな改革に取り組まれたのですね。今回抱えていた営業課題をそれぞれ4つ挙げていただいていますが、改革前の状況について教えてください。
堀場エステック | マイナビ |
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1:顧客フォローの優先順位 2:営業の生産性向上 3:再現性 4:質を量でカバー |
1:フィールドセールスの属人化 2:ひとりが全工程を担当し、独り立ちに時間がかかる 3:組織全体のリソース配分の偏り 例)既存フォローvs新規開拓、新規開拓ジャンルの偏り 4:新規開拓≒新人の登竜門 →新規案件化率や受注率が低止まり |
志知 1つひとつの課題が独立して存在しているのではなく、課題が関連してループしているような状況でした。まず、営業には予算を達成しなければならないという大前提があります。既存顧客のフォローを行いながら新規開拓を行っていると当然生産性は下がります。新規開拓については、上長が「このリストにあたってみて」と情報を提供することもあると思いますが、なかなか芽が出ないときは、結局質を量でカバーする動きをとらざるを得ません。そもそもリスト自体、実績ベースでつくられているものの再現性はないという課題もありました。
斉藤 課題が連動しているという点ふくめて、似通っている部分も多いですね。これまでは調査して提案先をリストアップするところから、電話をかけて商談を獲得し、訪問して提案からクロージング、施策の伴走まで、一連の流れをひとりの営業パーソンがすべて担当していたんです。それぞれのノウハウが共有されず属人化しており、組織に蓄積されないという課題感がありました。
また「全工程を担当できて営業として一人前」という風潮もあり、中途採用や新卒メンバーの独り立ちに時間がかかるという課題も付随して発生していました。リソース配分の偏りも、営業担当者としては既存顧客のフォローに注力したいけれど、組織戦略としては新規開拓にもう少し力を割いてほしいと考えている、などの不一致もあり、リソースの最適化ができていませんでした。
加えて、新規開拓が「新人の登竜門」と位置づけられることで、新規の案件化率や受注率が低止まりとなり、機会損失になってしまってもいました。