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売りたい順ではなく「買いたい順」でアプローチ!全員インサイドセールスのHubSpotに学ぶ営業の極意

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「売りたい順」ではなく「買いたい順」にアプローチ

――インバウンド手法の実践企業である御社において、マーケティングとセールスはそれぞれどのような役割を担っているのでしょうか。

伊田 お客様が製品やサービスに気づき、興味を持って購買するまでの過程は「バイヤーズジャーニー」と呼ばれます。加えて弊社では、「お客様の認知、検討、決定、利用」という各ステージで企業が踏むべきステップを3つの段階で定義しています。製品やサービスに気づいていただけるよう惹きつける「アトラクト(Attract)」、気づいていただいた方に積極的に働きかけて関係性を構築する「エンゲージ(Engage)」、お客様になっていただいたあとの満足度を上げ、彼らを自社製品のエバンジェリストに育てる「ディライト(Delight)」の3つです。

 
HubSpotが提唱する顧客を中心にした3つのステップを表す図

一般的にアトラクトがマーケティング、エンゲージがセールス、ディライトがカスタマーサポートの仕事だと思われがちですが、私たちはすべての機能を全員が担うべきだと考えています。たとえば、営業担当者も営業活動を通じて有益な情報提供を続けることでお客様を「アトラクト」したり、素晴らしい購買経験を提供して「ディライト」させたりする必要があるということです。サッカーでたとえると、ディフェンダーは守備の人、ミッドフィルダーは中盤でパスを回す人、フォワードはゴールを決める人という基本的な役割は決まっていますが、ディフェンダーが攻めの意識を持ったり、フォワードが守備の意識を持ったりすることも必要です。それぞれが基本的な役割を持たされつつ、自分たちの前後の仕事に関しても責任感を持ち、チームとして最高の結果を出すために動くことを意識しています。

――お互いのフィールドに意識を向け続けるために、工夫している仕組みや設定している共通のKPIなどはありますか?

伊田 HubSpotでは、マーケティングとセールスの間にある約束ごとがあります。セールスは、マーケティングが優先して働きかけるべきだと判断した「クオリファイドリード(=確度の高い見込み顧客情報)」を受けとった場合、必ず72時間以内にアクションを起こさなければならないというものです。さらに、クオリファイドリードの成約率はマーケティングと営業の両方が見ている指標となっています。

また、私たちの販売しているツールは単発で売って終わりではなく、お客様に使い続けて成功していただくことで初めて利益が生まれるものです。製品によっては販売後、一定期間内に解約されてしまった場合は1度ついた営業成績があとからでも消されることもあるので、セールスが売ったあとの工程にも責任を負う仕組みができあがっていると言えます。

――セールスの優先順位をマーケティングから導き出しているのは面白いですね。

安井 セールスは一般的に受注額の大きさや未開拓の業種などに基づいて「売りたい順」にアプローチすると思いますが、お客様の興味関心が高い順、つまりお客様の「買いたい(と思われる)順」でアプローチしているのが弊社の大きな特徴です。その裏側にはもちろん、HubSpotのスコアリングの仕組みが動いています。興味関心の高い見込み顧客からアプローチすることによる最大のメリットは、お客様から愛されるセールスになれることですね。

アウトバウンド型のセールスは、製品に関心の低いお客様に「売りつけられている」と感じさせてしまうことがありますが、インバウンド型の場合は製品を買いたいと思っている方に対して必要な情報を適切なタイミングでお届けできるので、「私の営業活動はお客様のためになっている」「社会や事業に貢献できている」という手応えを感じられます。

 
HubSpot Japan セールスマネージャー 安井花菜さん

――自分たちが売りたい順にアプローチしている企業や、そもそも優先順位をつけず、リストの上から順にアプローチしている企業も多いと思います。そのような企業が御社のように興味関心度を基準にして営業活動を行うためには、最初の1歩として何から始めるべきでしょうか。

伊田 とても簡単なことかもしれませんが、マインドセットを変えることだと思います。HubSpot本社の人間が「アウトバウンドとインバウンドの違いは、結局のところ心のあり方だ」と言っていました。相手が興味関心を持っているかわからないけどとりあえず情報を送りつけたらそれはアウトバウンドで、相手にはこの情報が必要だと思って提供したらそれはインバウンドで、最終的にはお客様のことを中心に考えて行動をとるかどうかが分岐点になると思います。

実際、先述したクオリファイドリードの受注率は約2割と非常に高い成果を生んでいます。「必要な情報をくれてありがとう、おかげで決心がついたよ」と言われることが、これからのセールスのあるべきかたちだと思います。

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この記事の著者

SalesZine編集部 宮田華江(セールスジンヘンシュウブ ミヤタハナエ)

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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

SalesZine編集部 渡辺佳奈(セールスジン編集部 ワタナベカナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、SalesZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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