RevOpsが進むとどんな変化が?「フォーキャストの精度向上」と「中長期的な経営判断」へ
川上 RevOpsの取り組みが組織に浸透すると、どのような効果が得られるのでしょうか?
山田 明確な変化として、フォーキャストの精度が向上しました。
以前は、営業が抱える複数案件のうち、データ化されず管理が及んでいないものが多くありました。それらを可視化したことで、「どのような基準で商談を前に進めるか」という判断基準が明確になり、パイプラインが健全化しました。受注率やリードタイムの「実力値」も把握できるようになり、実態に即した目標を立てられるようになっています。
ただ、データをそのまま可視化するだけでは、現場に「だから何?」と思われてしまいますし、各チームの生産性の差が露骨に見えてしまう側面もあるため、データの示し方には配慮しています。
そもそも、営業側でパイプラインが不足している原因の半分は、リードを供給するマーケティングやインサイドセールス側にもあります。ですから、単に営業の数字を指摘するのではなく、「現状はこうなっているので、マーケティング側でこのような支援策を準備しています」と、自分たちの改善計画とセットで提示することを意識していますね。
鈴木 我々の取り組みはまだ道半ばではありますが、属人性の解消やパイプラインの健全化に向けて、着実な手応えを感じ始めています。
また、これまでは「今年度の数字をどう積み上げるか」という短期的な視点に陥りがちでしたが、データという共通言語ができたことで、2〜3年先を見据えた中長期的な視点が持てるようになりました。現場の各責任者と経営者がデータを基に「将来の利益のために、いま何をすべきか」という、より本質的な議論ができるようになったのは大きな変化です。
AI活用、そして部門の壁を越えたデータ接続へ。RevOpsが切り拓く未来
川上 今後、RevOpsの取り組みで挑戦したいことはありますか?
鈴木 組織全体で一丸となってRevOpsを進めていくのはもちろんのこと、AIを上手く活用したいと考えています。たとえば、当社のRAGシステムにCRMなどの情報を投入してインサイトを得るなど、AIを通じていかに価値創造できるかに挑戦していきたいですね。
山田 現在、カスタマーサクセスチームでは「Gainsight」を活用していますが、そのデータがまだマーケティングやセールス側と接続できていないのが課題です。ここを整備できれば、どの案件に対して、いつ、誰が情報を提供するべきかが明確になり、組織一丸となってお客様にさらなる価値提供ができるようになるはずです。

川上 最後に「RevOpsへの一歩を共に」という想いを込めて、会場の皆様へメッセージをお願いします。
山田 我々はスタートアップで変化も激しいため、常にスクラップ&ビルドを繰り返しています。だからこそ、仮説検証のスピードは常に意識してきました。本日お話しした内容が、事業フェーズや境遇の近い企業様にとって、少しでも参考になれば幸いです。
事業の現在地が「経験」だけでなく「データ」でも可視化されると、組織は一気に変わります。属人化している環境では、課題が起きた際に「そちらの部門の責任だ」と対立しがちですが、データという共通言語があれば、組織全体で課題解決に向き合えるようになります。
結果として、事業全体のリソースを最適配置できるようになることも、RevOpsの大きな役割だと感じています。こうしたRevOpsの可能性について、ぜひ皆様と議論を深めていければ嬉しいです。
鈴木 旭化成のようなレガシー製造業では、「RevOpsはSaaS企業のものでしょう?」という固定観念や、マーケティングが単なる「ウェブや展示会の担当」として捉えられてしまう傾向もまだ残っています。
しかし、そんな伝統的な企業であっても、RevOpsの考え方が当たり前になり、成果を得られることを証明していきたい。私たちの挑戦が、一歩踏み出そうとされている皆様の一助になれば嬉しいです。
川上 RevOpsを始めるきっかけは各社各様でありながら、共通していたのは「成長スピードと組織の仕組みの間のギャップ」や「属人化の限界」、そして「事業目標達成のための組織横断的な設計の必要性」といった課題でした。
もうひとつ重要な共通点は、「RevOpsの部署を作れば良い」という考え方ではなく「共通言語を作る」という土台づくりから始めている点です。これはぜひキャッチしておきたいポイントです。
今後AI活用が進んでいく中で、データ基盤を整えることは必要不可欠になってきます。今日のお二方のお話が、皆様の組織におけるRevOpsの「次の一歩」を検討するきっかけになれば幸いです。
