営業に「自分たちのためのシステム」だと感じてもらうために
──今後はどんなことに挑戦していきますか。
松原 直近の注力テーマの中でも重視しているのは、エージェント型AIによるセールスイネーブルメントの実現です。営業の業務フローそのものにAIをシームレスに統合したいと考えています。具体的には顧客データに基づいて「今、誰にアプローチすべきか」という優先順位をAIが推奨する、いわゆるネクストアクションを提示できる環境をイメージしています。

中村 若手の経験不足を補う役割としても、エージェントAIという技術に期待しています。
住宅は多くの人にとって一生に一度の買い物なので、生活者の日常の購買データが参考にならないケースがほとんどです。普段は冷静に機能を見て買う人が、住宅購入の場合は情緒的に決定することもある。言語化できない感性価値が大事な領域だからこそ、営業も難しく、その分やりがいもあります。
その中で、集客環境の変化によって昔と比べて営業が接客を経験できる数は徐々に減っており、若手の営業パーソンは勘所を培う機会が減っています。足りない経験を組織でカバーするために、パートナーとしてのAIが有効ではないかと思います。
松原 住宅販売という領域においては、生成AIの活用可能性が高いと思っています。平面プランから住まいの内・外観のイメージを画像や動画として生成し、その場でお客様にお見せするなど、クリエイティブな提案にも生成AIが活用できるのではないかと考えています。
──最後に、新しいシステムを導入して、自社の営業スタイルを変革したい読者に向けて、メッセージをいただけますか。

松原 仕組みをつくるだけでうまくいくわけではありません。徹底すべきは営業視点に立ったUI/UXの磨き込みです。「本当にこれは使いやすいのか?」を営業の立場で問い続け、アジャイルに改善を回し続けるプロセスこそが重要です。つくって終わりではなく、常に磨き続けることが必要だと思います。改善を続けていれば、使ってもらえるシステムになるはずです。
システムはつくった人ではなく、使う人(営業)のもの。そういう意識を共有しないと、営業も「やらされている」と感じてしまうでしょう。営業に「自分たちのための武器だ」と感じてもらえてはじめて、システムは真価を発揮するのだと思います
中村 昔の業務に合わせたシステムを使い続けていて、旧来的なやり方を変えられないという営業現場は多いと思います。それを変えるためには、現場だけでなく意思決定者を巻き込む必要がある。そのために、われわれのような推進担当者が「将来像を見せる」ことが大事だと思っています。
足元の改善だけを目的にしていると、意思決定者を動かせない場合もある。「今は大丈夫でも、3年後はこういうシステムが必要になるはず」といった予想図をみんなで共有することが重要です。
「本当に必要なのか」と突っ込まれても揺るがずに、将来像を描き切ってほしいですね。
━━ありがとうございました!
