録画・データ化が進むオンライン商談の利点
オンライン商談の場合、商談のデータはまず動画データとして残され、生成AIによって文字起こしされ、顧客管理システム(CRM)や営業支援システム(SFA)に自動連携されます。商談が可視化されることで、ハイパフォーマーとローパフォーマーの分析や、成約・失注分析が可能になります。
また、データ蓄積以外の観点でも、オンライン商談には次のようなメリットがあります。
- 移動時間の削減により、ひとりの営業パーソンが対応できる商談数・顧客接点が増加する
- データ化された情報を商談後スムーズにCRMに入力でき、業務効率化につながる
- 商談動画を育成に活用できる
人手不足が深刻化し、業務生産性の向上が喫緊の課題となっている営業現場においては大きなメリットと言えるでしょう。

とくに、新人や若手スタッフが担当することも多い初回面談における商品説明ではオンライン商談を用いない手はありません。実際に、初回面談はオンライン商談をデフォルトにし、録画や議事録をもとにマニュアルを整備するなど型化を進めている企業の声も聞こえてきます。
今なお「ブラックボックス」な対面商談 3つの課題
一方、対面商談には、契約締結や意思決定に直結する重要な情報が数多く含まれています。しかし、このような情報は多くの場合、営業担当者の記憶やメモとしてしか残りません。お客様の「温度感」や「ニュアンス」を含めた情報が組織全体で正しく共有されることはほとんどなく、これが次のような3つの大きな課題を生み出しています。
1.情報の属人化とナレッジ共有の壁
優秀な営業担当者がどのように話を進め、お客様と関係を構築しているのかを具体的に把握することは困難です。優秀な営業担当者のスキルは言語化されにくい「暗黙知」としてとどまりやすく、組織全体でのスキルアップが困難になっています。
2.商談記録の負担と情報入力の抜け漏れ・精度不足
商談後の記録作業は、多くの営業担当者にとって大きな負担です。とくに訪問営業担当者は日中忙しく、詳細な記録をCRMやSFAに入力する時間は残業時間となってしまいます。その結果、記録が簡素化される、重要な情報が抜け落ちる、担当者のバイアスがかかった主観的で不正確な情報が入力される、といった状況が発生します 。
3.コンプライアンス対応・リスク管理の難しさ
金融・保険・不動産といった業界では、コンプライアンス遵守が厳格に求められます。商談内容が正確に記録されていない場合、顧客との認識齟齬や「言った言わない」といったトラブルが発生した際の事実確認が困難になります。また、カスタマーハラスメントや営業担当者による不正行為といった問題が発生した場合、非言語情報を含む客観的な記録がないと、企業として適切な判断を下すことができません。