SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

  • 前回のSalesZine Dayのセッションの様子をレポート記事でお読みいただけます。

  • 過去開催時のイベントテーマをまとめてご覧いただけます。

直近開催のイベントはこちら!

SalesZine & Beyond 2025

2025年10月23日(木)12:30~17:45

「仮説思考」を営業組織にインストールせよ!

【営業マネージャー必見】アポ率を劇的に上げる「仮説提案テンプレート」のつくり方

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena

質の高い「仮説提案テンプレート」をつくるには? 仮説には4つのレベルがある

 質の高いテンプレートを作成するには、「仮説のレベル感」を意識することが重要です。仮説は次の4つのレベルに整理できます。

  • 仮説レベル1:日本のすべての企業に当てはまる課題(例:人材不足、DX対応)
  • 仮説レベル2:規模別の課題(例:大企業特有の承認プロセスの複雑さ、中小企業の資金繰り課題)
  • 仮説レベル3:業界特有の課題(例:製造業における設備投資負担、小売業におけるEC対応)
  • 仮説レベル4:その会社固有の課題(例:顧客企業の業績トレンドや既存システム環境に起因する問題)

 質が低いテンプレートは、基本的に仮説レベル1か2になっています。対象となる企業が多いため、抽象度が高い内容となり、顧客は「自社のことだ」という納得感を得にくくなってしまいます。

 仮説提案営業は本来、「仮説レベル4」に踏み込んだ個社別の仮説を立てるのが理想です。しかし、いきなり「1社ごとに毎回違う仮説を立ててね」と指示するのは、経験値が浅いメンバーが多いチームだとなかなか難しいという声もよく聞きます。

 また、仮説レベル4では1社ごとに課題が違うため、決まったテンプレートはつくれません。この場合、まずは「仮説レベル3:業界特有の課題」を軸にテンプレートを設計することが現実的なスタートラインになります。

営業メンバーが「カスタマイズ」できる部分を残す

 では、営業マネージャーは、具体的にどのような手順でテンプレートを作成していくべきでしょうか。

 まず最初に、注力すべきターゲット業界・部門を決めることから始めましょう(第1回記事を参考)。次に、その業界・部門において共通する課題(=仮説レベル3)を特定します。

 そして、その課題に自社の商材をどう結びつけられるかを整理し、アポスクリプト、提案資料、商談の流れのそれぞれにおいて「○○業界向けの××サービスの提案」というテンプレートを作成してチームに展開します。

 このとき、重要なのが「1テンプレートにつき1課題1商材にする」ということ。ひとつのテンプレートに複数の課題や商材が記されていると、焦点がぼやけて抽象度が高くなり、「自社には関係がない」と顧客に思われてしまうからです。

 テンプレートを作成したら、このテンプレートをそのままメンバーに使わせるのではなく、「この部分だけは都度カスタマイズしてね」というパートを決めます。つまり、全体のテンプレートは営業マネージャーが作成し、その構成要素の一部をメンバーが作成する、という役割分担をするのです。これにより、「標準化」と「個別化」を両立させた、バランスのよいテンプレートが出来上がります。

 テンプレートを作成する段階では「完璧さ」は重要ではありません。まずは営業マネージャー自身が考えた、「この業界の顧客にはこれが刺さるのではないか?」という仮説で十分です。

 ただし、そのテンプレートを実際のアポ取りコールや商談を通じてメンバーに検証してもらい、フィードバックを集めて改善していくことが重要です。そうした「仮説→行動→検証→改善」のサイクルをマネージャー主導で繰り返すことで、テンプレートの精度は徐々に上がり、結果的にアポ率や受注率も向上していきます。

 精度の高いテンプレートがひとつできれば、それを横展開していくことで、新たな業界向けのテンプレートも効率的に構築できます。個人の経験や勘をチーム全体の資産に変えていくことこそ、営業マネージャーの真価が発揮される瞬間なのです。

次のページ
テンプレート実例の紹介(アポ獲得スクリプト)

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
「仮説思考」を営業組織にインストールせよ!連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

株式会社JOENパートナーズ代表取締役/営業コンサルタント 城野えん(ジョウノエン)

慶應義塾大学商学部卒業後、グローバルIT企業に営業職として入社。新卒2年目に新製品受件数1位を達成。社内最年少でシンガポール駐在員となり、東南アジア地域でのパートナー企業開拓や新規顧客開拓を担当。国内外で、ニーズが顕在化していない顧客からの大型受注を次々と獲得した自身の提案営業のノウハウを、誰でも再...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
SalesZine(セールスジン)
https://saleszine.jp/article/detail/7594 2025/09/17 07:00

Special Contents

AD

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング

年間スポンサー

AD