直販営業のみ=“7割”の売上を失っている? パートナーチャネルの重要性
直販モデルの限界が明らかになる中、磐崎氏は「直販に依存しない戦略が非常に重要になってきます」と述べ、パートナーチャネル(間接販売)の重要性について説明を進めた。
中小企業庁のデータ(※5)によると、ITソリューションベンダーが中小企業に対してソリューションを販売する際、直販のみを行っている企業は約24%に留まり、残りの76%はパートナーチャネル(間接販売)を活用しているという。このデータは、直販営業にのみ力を入れている企業は、実は7割の売上を失っている可能性があることを示唆している。

実際、パートナープロップ社においても、プロダクトの正式リリースから1年余りで、パートナー経由の売上比率がすでに約6割に達している。磐崎氏は「逆に言うと、このタイミングでパートナーチャネルを導入していなかったら、6割の売上を失っていた可能性があるということなんです」と語った。
パートナー契約を結ぶだけでは売上は上がらない
磐崎氏は、
パートナーチャネルの定義を「自社でなく、ほかの企業や個人といった第三者から販売・紹介をいただき、営業活動を行う販路、チャネルのこと」と説明した。その種類は、コミットメントレベルの高い順に、ジョイントベンチャー(共同出資)、OEM、卸売、販売代理・取次、紹介・リファラルなど多岐にわたる。

「もっともライトに取り組めるのが、紹介・リファラルです。『良さそうなお客様がいらっしゃったら紹介してください』とお願いするだけという、かんたんな仕組みです」(磐崎氏)
しかし、単にパートナー契約を結べば売上が上がるわけではない。磐崎氏は、「パートナーが増えても、成果を継続的に出せるパートナー、出せないパートナーに大きく二極化します」と警鐘を鳴らす。
よく「2:8の法則」と言われるが、パートナーチャネルにおいては、成果を出すパートナー企業が1割でもいたら良いほうだという。つまり9割のパートナー企業はアクティブに活動していないのが現実だ。
さらに課題を複雑にしているのが、パートナーの活動が自社の“外”で行われるため、何が起きているかわからず課題特定が難しいことだ。よくある誤った施策として、磐崎氏は3つの例を挙げた。
ひとつめは定例ミーティングで「案件ないですか」とお願いし続ける方法。ふたつめは資料をとにかく送付する施策。3つめは勉強会の開催だ。「これらの施策は、パートナー側の参加意欲や本業との兼ね合いで、成果が出にくい」と磐崎氏は指摘する。