管理ではなく「営業を支援する」ためのAI・データ活用へ

こうしたデータ活用を進める日立ソリューションズは、なぜLBCを採用するに至ったのか。石原氏は、次の3つの理由を挙げた。
ひとつめは、圧倒的な企業データ数。企業を網羅できていないと、取りこぼしている企業がわからない。PDCAの「Plan」で必要なHEATMAPの作成自体が難しくなってしまうからだ。
ふたつめに、マスターデータのメンテナンスの重要性を挙げた。マスターデータの精度を高く保つには、頻度高くメンテナンスされていることが不可欠だ。膨大なデータ量の管理をユーソナーに一任できる点も、決め手のひとつだったと石原氏は言う。
3つめは、「企業ベース」でのデータ活用が実現できる点だという。当初は名刺管理ツールの導入を検討していたものの、名刺に紐づく「人」よりも、「企業」中心でデータ活用・管理をしたいというのが、日立ソリューションズの意向だった。
鈴木氏は、「網羅性の高さを評価いただけて嬉しい。2点めのメンテナンスも非常に大事なポイント。保有データが陳腐化すると、そのデータを基に分析した結果も正しい結果とは言えない可能性がある」と補足し、データの“鮮度”を維持することの重要性を改めて強調した。
また、昨今はデータ活用だけでなくAI活用も進んでいるという日立ソリューションズ。石原氏は「AIツールを管理のためではなく、営業メンバーの支援のために使いたい」と説明する。
たとえば、同社には400を超える商材があるため、営業メンバーがすべての商品を把握することは難しい。そこで、Allganize社が提供する業務プロセスの自動化と生産性向上を支援するAIアプリケーション基盤である「Alli LLM App Market」上で独自のAIチャットボットを構築。顧客の課題を問い合わせると、商材を組み合わせたソリューションをAIが提案してくれるという仕組みだ。
石原氏は「案件管理のためのデータ活用は進んでいるが、営業メンバーの個々の活動を支援する活用はまだまだ。AIを組み合わせて営業活動支援の充実を図っていきたい」と語った。
また、昨年末からユーソナーのサービスを利用して、インテントデータ(顧客が興味・関心を持ち意図を持って起こした行動データ)の活用を進めているという同社。インテントデータは、顧客のニーズを事前にキャッチして、確度の高い提案をするのに役立つ。
石原氏は、インテントデータ活用の強化に向けて要望を寄せた。
「インテントデータは、社内のほかのデータと組み合わせることで、データとしての価値がより高まると思います。しかし、まだインテントデータと連携できるシステムは多くありません。今後、連携可能なシステムが増えると嬉しいです」(石原氏)
これに対して鈴木氏は、「ぜひそうした要望にもお応えし、効果的な活用例を一緒につくっていけたら」と答え、セッションを締め括った。