対応ログの可視化がもたらしたCX・EX向上 働き方の多様化も実現
導入にあたっては、複数の地域でPoCを実施したのちにカスタマーサポート部門、データセンター部門という順番で段階的に導入を進めた。Zoom Phone導入後、まずCX向上については「通話品質の向上」「対応の正確さ」「スピードと柔軟性」という3つの点で効果があったという。
「以前はネットワーク環境によって音声が途切れたりノイズが発生したりして対応の質が不安定になることがありましたが、Zoom Phoneではほぼなくなりました。さらに通話履歴の録音データがすべてクラウド上に保存されるため、データをもとに案件の引き継ぎやトラブルが発生した際の対応が格段にスムーズに行えるようになっています。またリモート勤務の担当者がどこにいてもモバイル端末やPCで即時に受電対応することが可能となり、お客様を待たせない体制を構築できました」(大西氏)
EX向上に関しても、働き方が自由になって劇的な変化があったとする。
「これまでは、電話対応を行う場所に制約がありましたが、Zoom Phone導入後は場所を意識する必要がなくなりました。また、通話ログの可視化によって応対品質のチェックや改善活動がしやすくなり、それが個人の成長につながっています。その結果、対応時間の短縮や応答率の改善、運用面で工数の削減など多くの成果が得られています」(大西氏)
大西氏はZoom Phoneが提供する実際のダッシュボードを紹介した。応対品質は「品質MOS」という値で判定され、3.5以上が高品質と判断される。3.5以下と判断された低品質な応対は詳細を掘り下げてトラブルシューティングに努めることで、応対品質を向上させている。
「従来はこうしたログを可視化する機能がなかったため、品質低下の疑いが発生した際、通信キャリアの問い合わせや社内ネットワークへの問い合わせ、担当者のデバイスの確認などリスクとなるポイントが多岐にわたっていました。Zoom Phone導入により、問題がかなり解消されました」(大西氏)

さらに、顧客満足度(CS)と従業員満足度(ES)の面についても成果が見られているという。顧客に対しては「ストレスフルの状態で電話をしてくるお客様に対して、通話品質の向上によって余計なストレスを感じさせずに済むようになったことに加え、ストレージコストを意識せずに大量の会話データを保存して教育や学習に活かせるようになったことで、今後もデータ分析による対応品質の底上げが見込める」とした。
従業員からは「在宅勤務でも不自由を感じない」「トラブル発生時に問題の切り分けが容易になった」など、電話に関するストレスが減ったという。従来は個人のプロバイダや通信環境によって出社を余儀なくされていたが、Zoom Phone導入によりリモートワークと出社を自由に選べるようになったことで、働き方の多様化が進んだ。
今後もさくらインターネットでは、Zoom Phoneによって刷新したコミュニケーション環境の継続的な改善活動を行う。具体的には、応対内容の可視化、会話の解析、より高度なAI連携をもとにした顧客コミュニケーションのブラッシュアップを視野に入れているという。
「今後高度なAI連携を実現するにあたっても、Zoom Phoneを導入したことでより可能性の幅が広がりました。とくに応対内容の可視化と分析を強化することで、お客様への対応品質をさらに上げていきたいと考えています」(大西氏)