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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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企業の競争力を高める「営業DX」とは? 日本の営業組織の未来を探る powered by SalesZine

2024年4月18日(木)14:00~15:30

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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SalesZine Day 2019 Summer(AD)

営業マネージャーがSales Techで変えるべき「3つの習慣」

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 Sales Techの登場で、営業マネージャーの仕事の進めかたは大きく変わろうとしている。7月26日に行われた「SalesZine Day 2019 Summer」では、セールスフォース・ドットコムから宮﨑盛光氏と秋津望歩氏のふたりが登壇し、伝統的なリスト管理に頼らない最先端の営業の仕事の進めかたを紹介した。

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見込み通りの着地を可能にするパイプライン管理

 営業マネージャーの仕事は多い。営業戦略を立て、KPIを設定する目標管理にとどまらず、マーケティングやインサイドセールスのような他部門との連携、部下の採用やコーチングにまで仕事の領域が広がっている。Sales Techは多忙な営業マネージャーの仕事の負担を減らすことにつながるものだ。

 
株式会社セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 エンタープライズ営業第二本部長 宮﨑盛光氏

 実際にその考えでSales Techを使っているのがセールスフォース・ドットコムである。宮﨑氏は、11年前に同社へ入社する以前も営業の仕事に従事していたが、当時は数字目標の予測ではExcel、日報ではWordを使っていたという。「Salesforce製品を始めとするSales Techを使うようになり、かなり仕事の内容が変わったと自分でも実感している」と宮﨑氏は述べ、Sales Techが役立つ以下の3つの分野を解説した。

  • パイプライン管理:目標を実現するために行う営業の基礎
  • ターゲティング:目標を実現するために狙うべき案件の特定
  • ミーティング:実際に狙った相手にアプローチするためのトレーニングの場

 3つのうち、もっとも詳しく解説されたのが、パイプライン管理である。多くの企業では、毎月の案件をExcelでリスト化し、受注確度のABC評価、受注金額予想や訪問回数などを管理していることであろう。その場合の悩みは、評価の基準が担当者によってバラバラで、打ち手が見えにくいことではないだろうか。Aランクの案件がBランクに変わったり、案件自体が消えたり、Aランクなのに数ヵ月もリストに残っていたりすることだ。担当者が受注確実なものしか入力せず、実態がわからないことも珍しくない。

 見えないことを見えるようにするのに役立つのがパイプライン管理である。リスト管理から脱却し、パイプライン管理を成功させるポイントとして宮﨑氏は以下の3つを紹介した。

  • 視野を広げ、顧客視点で商談ステージ設計をすること
  • 商談ステージごとで行うべき顧客との合意事項を定義し、メンバーを導くこと
  • 案件は初期段階から全部入れること

 この実践でとくに重要になるのが「営業マネージャーが、部下を怒らないこと」だという。「失注は恥」という文化が染み付いている組織では、担当者は失注につながりそうな案件を隠したがる。いわゆる「柔らかい案件」を含め、すべての案件を共有できるようになるまでには短くて3ヵ月、長くて1年かかるという。部下に怒らないことがわかってもらえたら、次に営業マネージャーに求められるのは商談を進めるためのコーチングのスキルである。宮﨑氏は「パイプライン管理の肝は数字をつくることではなく、ファネルのかたちを整えること。営業マネージャーの仕事の醍醐味は、部下が持つ商談の進めかたについて適宜アドバイスをしながら、ファネルのかたちを適正に整えることにある」と語った。

商談ステージ設計では顧客を主語にすることが重要

 では、ファネルのかたちを決める商談ステージはどのように設計すればいいのか。セールスフォース・ドットコムの場合、「案件の可能性があるか」「課題の認識を(お互いに)合意しているか」「変化に(お客様が)メリットを感じているか」「意思決定者を含め、(お客様が)会社の問題として認識しているか」「今後の進めかたや体制の合意はあるか」「金銭面の合意はあるか」「書類の取り交わし」の7つに加え「受注、商談完了」の8つで管理しているという。

 

 間違えてはならない商談ステージ設計でのポイントは「顧客の購買プロセスに商談プロセスを合わせること」にある。仮に自社の視点から「見積書の発行」を商談ステージのひとつに決めたとしても、途中の商談で見積もり条件は大きく変化する可能性が高く、受注確度の判断材料にはなり得ない。独りよがりにならない事実ベースのパイプライン管理を実現するには、主語を顧客にして商談ステータスを把握することが求められる。

 秋津氏は、Salesforceの画面でデモンストレーションを行い、営業担当者の視点で案件情報の確認方法を紹介。案件ページを見れば、その案件がどのステージにあるのか、決裁者や予算の確認はできているかなど、各ステージで行うべき「成功へのガイダンス」を確認できる。次のステージに進めるための合意事項が明確なので、新人や初めて提案する製品の場合も対応ができる。

案件ページ[画像をクリックで拡大]
 
株式会社セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャー 秋津望歩氏

 また、それぞれのステージの商談総額をリアルタイムに把握することも重要である。マネージャーが見るダッシュボードの画面では当月の目標達成状況を確認できる。月末までに達成が難しいとわかったとしよう。パイプラインの中身を調べれば、初回の訪問が可能な案件を発見し、挽回の計画を立てることができるかもしれない。リスクの兆候にすぐ気づくことができるのがパイプライン管理の優れたところでもある。

パイプライン管理[画像をクリックで拡大]

 さらに、リスト管理では難しい将来予測はAIが得意としている領域である。Salesforce Einsteinをパイプライン管理に使うと、案件データや担当者のデータをAIが学習し、月末の売上着地予測やフォローするべき案件のレコメンドで営業担当者をサポートしてくれる。AIを使うべき理由は、顧客とのやり取りや見込み客の開拓のような業務に使う時間を増やすためだ。セールスフォース・ドットコムが2018年4月に全世界の営業関係者に対して実施した調査結果によれば、営業担当者は時間の66%を付帯業務に費やしていることがわかった。AIはその付帯業務を効率化することに役立つ。

売上予測[画像をクリックで拡大]

ターゲティングとミーティングにも役立つSales Tech

 次に話題はSales Techを活用したターゲティングに移る。ターゲティングに関しては、まったくやっていないか、あるいはパイプライン管理と同様にExcelでリストをつくって管理している企業がまだ多いのではないだろうか。リスト管理から戦略的ターゲティングができる仕組みを整備するために不可欠なことは、担当者が正しいデータにアクセスできる基盤となる統合顧客データベースの構築である。

ABM[画像をクリックで拡大]

 営業マネージャーがターゲティングで入手したいのは、何と言っても意思決定者の連絡先情報である。ただし、名刺交換で得た情報は既存顧客のものに偏る傾向がある。売上を伸ばすには、新規の見込み客との接点を増やしたいところだ。宮﨑氏は「既存顧客の情報の整理に加え、増やすべき新しい顧客情報の2種類を合わせて戦略を考えるべき」と述べ、名刺管理ツールを使い、名刺情報を会社の資産として共有することを勧めた。名刺情報を一元管理すれば、ターゲット企業の誰がどのポジションにいて、誰とつながりがあるかを把握できる。たとえば名刺管理ソリューションの多くはSalesforceと連携ができるため、名刺をスキャンすることでSalesforceのデータを最新に保ちターゲティングのための分析に使うことができる。秋津氏は、「SalesforceはPardotとも連携しているので、ターゲット企業に対してシナリオベースのフォローもできる」と補足した。

 ターゲット企業への提案内容については、顧客データベースを整備すればAIの力を活用することができる。顧客の購買傾向を学習し、PTBスコア(Propensity to Buy:購入傾向スコア)をもとに次に購入してもらえそうな製品を提案してくれるのがSalesforce自身が社内で活用しているAccount Intelligence機能である。PTBスコアに基づき営業活動を行ったところ、「17%を占める高いPTBスコアの企業から売上の86%を創出する成果を得られた」という。

 Sales Tech活用が有効な分野、3つめは「ミーティング」である。宮﨑氏はAIやアナリティクスを活用したファクトベースの会話の重要性を強調した。「最近どう?」「とれる案件ないの?」という会話ではなく、「その状況ならこうしたほうがいいよ」と営業マネージャーは前向きなアドバイスと部下のフォローができるように変わる。

 

 それができている企業は、1週間の時間の使いかたがうまいと宮﨑氏は評する。たとえば、月曜日に定例のチームミーティングと1対1のミーティングを設定し、木曜日の夕方までに最新情報を入力する。マネージャーは金曜日にその情報を確認し、各自にフィードバックを行う。マネージャーは火曜日から金曜日の日中のリアルタイムフィードバックも欠かさない。常に部下と案件情報でつながり、リアルタイムにフィードバックを提供することが部下のコーチングになるからだ。

 セールスフォースでは部下の成長を把握するデータも収集している。同社の場合、新卒や中途で入社をしトレーニングを経て現場での実務が始まる。実績を積んだあとのキャリアパスはそれぞれ違っても、日々の業務でのパフォーマンス、受講したトレーニングの内容、スキルを可視化し、どれだけ成長したかがわかるようにしているという。また、「V2MOM」と呼ぶ目標管理の仕組みも運用し、成長を定量的に評価すると同時に、個別のミーティング以外でも成長を確認し、伸び悩んでいる人を支援する体制も整えている。

Sales Techでは失注データが学びの材料

 Sales Techを導入すると、「パイプライン管理」「ターゲティング」「ミーティング」という営業マネージャーが日々行う業務であるこの3つの習慣が大きく変わる。宮﨑氏はSales Techを使う場合、パイプライン管理は必須と強調した。その理由は失注データの蓄積から得られるメリットが大きいためだ。

 

 宮﨑氏が挙げた具体的なメリットは4つある。第一に、失注データをもとに営業担当者の特徴を捉えたトレーニングが可能になることだ。第二に、商談相手が何も購入せずに失注しても、その案件の再アプローチが可能になること。ある調査によれば、商談相手が何も購入せずに失注となった場合、その約8割が2年以内に競合の商品を購入することがわかっている。第三に成功と失敗のギャップからAIの学習データを得ることができる点、最後に挙げられたのは、ROIのより高い領域にプロダクト開発のリソースを振り向けることができる点だった。

 Sales Techを活用すれば、営業マネージャーはより大きな成果が得られる業務領域に時間を割けるようになる。そのためには、担当者任せではなく、マネージャー自身が仕事の進めかたをデータドリブンに変え、日々の3つの習慣を変えなくてはならない。その結果、いままでとは行動が変わり、得られる成果も大きなものに変わるであろう。「ぜひSales Techを使ってほしい」と述べ、宮﨑氏は講演を締めくくった。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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