環境経営という“入口”から 新たな接点をつくる戦略転換
──本日はよろしくお願いします。子田さんは営業畑を長く歩まれたのち、マーケティング部門を経て現在のグリーンモデル推進部を率いていらっしゃいますね。
はい。入社以来20年を営業畑で過ごし、その後3年間マーケティングを担当しました。インクジェットプリンターや紙の再生機など、環境関連製品のマーケティングを経験する中で、環境経営の重要性を実感したんです。その経験が、現在の部門立ち上げにも活きていると感じています。
──環境・共創推進部を立ち上げられた背景について教えていただけますでしょうか。
当社は企業として早い段階から脱炭素の取り組みを発表し、評価もいただいていました。インクジェットプリンターはレーザープリンターと比べて消費電力が半分以下という環境面での強みもあります。しかし、その価値が十分に広がらないという課題がありました。そこで「売り方」を変化させていく必要性を感じたのです。
──具体的にどのような変革を進めたのでしょうか。
最終的な販売は従来どおり既存パートナーさんにしていただくのですが、お客様との最初の接点のつくり方を変えていこうと考えました。環境経営への理解を深めた「環境・共創推進部」が直接顧客との接点をつくるかたちに変更したのです。
従来は情報システム部門や総務部門の方との商談が中心でしたが、現在はサステナブル推進の方や、経営企画の方、さらには役員の方々とお会いする機会が増えています。実はアポイントも取りやすくなりました。皆さん環境経営について課題意識を持たれているからですね。
最初から製品販売ありきではなく、「御社の環境の取り組みについて意見交換させていただけませんか」というかたちでお話を始めます。我々も今までそういった方々と直接お話する機会が少なかったので、市場がどうなっているのかを理解する良い機会にもなっています。
──新しいテーマについて顧客と語り合える組織をつくるために、どのような準備が必要でしたか。
グリーンモデル推進は8名体制でスタートしましたが、実は営業経験者は私を含めマネージャー2名だけでした。ほかのメンバーは技術職や販売推進など、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーで構成しています。
環境という今まで触れてこなかった分野を学ぶことには苦労しましたね。新しく来たメンバーはとくに環境について1から覚える必要があり、お客様の質問に自信を持って答えられない状態が続きました。そこで、最初はひとりで行くのではなく、数名で同行するかたちを取りました。
また、会社全体としては東京商工会議所のエコ検定の取得を推進しています。全社員の57%ほどが取得していて、これが基礎的な知識の土台になっています。