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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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SalesZine Day 2025 Summer

2025年7月24日(木)13:00~18:20

営業改革事例

“体調に関する会話”が心理的安全性を育む 日本イーライリリーが実践したMRのリーダーシップ開発育成

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 ひと口に“営業職”と言っても、その活動の特色や課題・展望は扱う商材や業界によって異なります。そこで今回は「製薬業界における営業(MR)」にフォーカスし、日本イーライリリーの水田さん、米田さん、矢作さんに取材を実施。女性MRの定着・管理職割合増加を目指し、現場の女性MR自らが挑んだ実証実験やぶつかった壁、営業組織にもたらした変化をうかがい、MRの活動を加速させるヒントを探りました。

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ロールモデルがいない」 女性MRがぶつかる壁

──はじめに、日本イーライリリーの事業内容と営業組織について教えていただけますか。

水田 日本イーライリリーは、イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。患者様が健康で豊かな生活を送れるよう、日本で50年にわたり世界水準の医薬品を開発・提供してきました。現在はがん、糖尿病、アルツハイマー病などの中枢神経系疾患や自己免疫疾患など、幅広い領域で日本の医療に貢献しています。2024年末で全社員数は約2,800人、そのうち営業社員(MR)は約1,400人が所属しています。

 営業部門はオンコロジー事業本部、自己免疫事業本部、ニューロサイエンス事業本部、ダイアベティス・オベシティ・心・腎領域事業本部と4つの事業本部に分かれ、顧客であるドクターや医療従事者に情報提供をしています。私が所属する本社部門では、戦略策定や資材作成、教育研修を横串で展開しています。

──MRならではの難しさや課題を教えてください。

水田 製薬業界に共通して言えることですが、生命に関わる領域であり、倫理観と厳しいレギュレーションが求められます。加えて日本イーライリリーの特色として、新薬を開発・提供していることが挙げられます。治療の新しい選択肢や安全性などをご理解いただくため、ドクターや医療関係者に科学的な最新情報を届けます。

 その中で営業活動を行うのは難易度が高いですが、我々の活動は、患者さんの健康へ貢献することに直結します。日本イーライリリーでは理系・文系を問わずMRの人材を採用していますが、新入社員は6ヵ月かけてトレーニングを行い、製薬業界で定められたMRの資格試験のほかに、当社独自のトレーニングも設けています。業界としてMRのクオリティを高める努力を継続しています。

日本イーライリリー株式会社 セールスオペレーションズ 部長 水田 圭一さん

──高い水準での知識習得や規則遵守のもと、営業活動をしていく。非常に難しいと思います。そうした中で、とくに女性MRのキャリアや働き方にも課題を感じていたそうですね。

米田 そもそもMR全体として45歳以上の割合は少なく、ロールモデルがいないために長く続けるイメージがわかないという課題があります。その中で、女性MRの管理職のロールモデルはさらに少なくなります。

日本イーライリリー株式会社 オンコロジー事業本部 Medical Representative 米田 麻衣子さん

水田 とはいえ、当社の女性管理職の比率はけっして低いわけではありません。本社も含めた女性管理職は全体の30%を超えており、製薬業界の中では高い割合と言えます。しかし若手のMRが自分のロールモデルを探すには、まだまだ人数やバラエティが少ないのも事実です。

──そうした課題を解決するため、日本イーライリリーでは、どのような方針・施策を掲げているのでしょうか。

水田 日本イーライリリーでは、企業戦略のトップラインのひとつとしてインクルージョンの取り組みを掲げています。その一環として、同じ特質や価値観を持つ社員を公募し、業務として社員の多様性を高める活動を行う社員リソースグループ(ERG、Employee Resource Group)の活動を会社全体で推進しています。

 現在は4つのグループが自主的な活動を行っていますが、その中で最初に結成されたのがウィメンズに関するグループです。

──2017年から新世代エイジョカレッジ(エイカレ)に参加されています。どのような狙いや期待があったのでしょうか。

水田 諸外国に比べて、日本ではジェンダーの問題がまだまだ大きい。産休・育休制度といったハード面だけを整備してもこの問題は解決できません。女性管理職割合を指標としながら、その過程で課題を洗い出したり、継続的な会話を生み出したり、ボトムアップかつ統合的な活動を推し進める。そうした考えのもと、エイカレへの参加に至りました。

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“体調”をきっかけに、チームの心理的安全性と信頼を拡大

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この記事の著者

SalesZine編集部 高橋愛里(セールスジンヘンシュウブ タカハシアイリ)

1992年生まれ。新卒で総合情報サービス企業に入社し、求人広告の制作に携わる。2023年翔泳社入社。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://saleszine.jp/article/detail/7077 2025/05/07 07:00

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