BtoBコミュニティ運営の「よくある失敗5選」
BtoBコミュニティ運営で、よくある5つの失敗パターンをピックアップします。
1.会社全体を巻き込めない
BtoBの場合、カスタマーサクセスやカスタマーマーケティング部門がコミュニティ運営を主導することが多いのですが、限定的な運営になればなるほど提供できる価値も限定的になり、コミュニティの価値も小さくなってしまいます。たとえば、プロダクト開発における顧客の声の収集や価値提供、マーケティング部門と連携したイベント開催など、他部門と連携することが重要です。これにより、提供できる価値は大きく広がります。
他部門を巻き込む際、単に「コミュニティをやります!」と伝えるだけでは、協力は得られにくいでしょう。各部門の目標やKPIを踏まえたうえで、コミュニティがどのような価値を提供できるのか、具体的に説明することが重要です。全社的な視点を持って進めることで、より効果的な巻き込みが可能になります。
2.「コミュニティは自走する」と勘違いして、リソースを割かない
実際にあった事例ですが、カスタマーサクセスと兼務でコミュニティを運営していた方が、ほかの業務に集中するため1ヵ月ほどコミュニティの運営業務から離れました。すると活発だった投稿が急激に減少し、その後の立て直しに苦労したそうです。
コミュニティメンバーの中からリーダー的な存在が現れ、自発的な活動が多くなったとしても、メンバーのモチベーション維持やさらなる活性化のための企画といった運営側の取り組みは常に必要です。まだコミュニティに取り組んだことがない企業が多い中で、コミュニティマネージャーなど専任の担当者を置く判断はたしかに難しいかもしれません。しかしこの点をおろそかにすると、自社のコアな顧客となるメンバーに対して最大限に価値を提供できなくなってしまいます。
3.コミュニティの目的に合うKPIを設計できていない
コミュニティというと、単に投稿数やコメント数といった指標のみが置かれがちです。UGC(User Generated Content、ユーザー作成コンテンツ)はたしかに重要ですが、それが必ずしもコミュニティの目的達成につながるとは限りません。全体の20~30%が投稿してくれたとしても、単純に投稿が多いことが解約率の提言やアップセルの達成に直結しないのです。むしろ、たとえばイベント参加率が解約率低下と相関があるのであれば、そちらを重視すべきです。
また、投稿をしてくれる人はマイノリティです。そこにばかり注力すると、閲覧だけのいわゆる「ROM専」のメンバーが無視されたコミュニティ体験になってしまいます。コミュニティを始めていない段階ではどの指標を追うのが効果的か見えにくいため、まずはキーサクセスファクターを設定したうえで、中長期で評価していく必要があります。