“褒めてくれる”人は周囲から応援される
研修でお世話になっている方から「今までの中で菊原先生の話がいちばん役に立ちました」と言われたことがあった。「ずいぶん大げさな」と思いながらも、非常に気分がよくなった。ベタでもうれしいのだ。
また知人の著者の出版記念パーティーに出席したときのこと。知人は私を見るなり「菊原さんはオーラがありますね。やはり仕事ができる人は違いますよ」と言ってきた。
もちろんお世辞である。そうだとわかりながらも、その日はずっと気分が良かった。周囲に自然に応援される人だ。このように褒めてくれる人はみんなから好かれるのだ。
別の知人のこと。久しぶりに会った際、「菊原さん、なんか疲れた顔をしていますね。仕事しすぎですよ」と言ってきた。そう言われて疲れていなかったのに、本当に疲れている気分になった。そしてその知人をちょっと嫌いになったのだ。
知人には私が疲れているように見えたのだろう。主治医であれば別だが、それを正直に伝えるメリットはあまりない。関係性が深くない相手ならなおさらだ。
周囲を味方にするための方法として、接待をしたり、プレゼントを買ったりということもあるかもしれない。ただし、これではお金も時間もかかる。しかし、“相手が喜ぶことを伝える”のなら短時間でしかも無料、そのうえ効果も絶大だ。
これは営業活動でも効果的なテクニックだ。
ある時期に上についていたマネージャーは、お客様に対してオーバーに褒め言葉を言う人だった。夫婦で商談見えたお客様に対して、いきなり「あれ? 奥さんはモデルさんですか?」と言い出す。さらにはご主人に対して「イケメンで良いですね」と言うのだ。お子さんには、「こんなかわいい子は子役モデルでもいませんよ」と褒めちぎる。
隣で聞いていて恥ずかしくなるほどで、お客様は「いやいや言い過ぎですよ」と言いながらもまんざらでもない様子だ。その上司に商談同行をしてもらうと決まって良い方向へ話が進んだ。もちろんその上司もトップ営業スタッフだった。
誰でも人から褒められたいと思っている。多少オーバーに褒めたとしても怒りだす人はいない。 苦手な上司、難しいお客様など、思い切って相手の良いところを大げさに褒めてみてほしい。驚くほどのリターンを得られるのは間違いない。